さかなクンって知っていますか?
甲高い声でしゃべり、常に頭に魚の帽子をかぶって、「ギョギョッ」「ぎょざいます」などの変わった話し方をする強烈なキャラクターのあのひとです。
現在はタレントやイラストの仕事の他に「東京海洋大学客員准教授」という肩書も持っています。
さかなクンは幼少時のエピソードから「発達障害じゃないか」「アスペルガー症候群じゃないか」という声もありますが、それでも現在自分の好きなことをとことん突き詰めて楽しそうに毎日暮らしています。
そんなさかなクンの母親の育児方法が気になって調べたところ、さかなクンが自分の半世紀を書いた自伝的な本「一魚一会」を見つけました。
その本にはさかなクンのおもしろエピソードの他に、自分だったら真似できるかなと思えるお母さんの育児法が書かれていたので紹介します。
さかなクンの自伝「一魚一会」
物心ついたくらいの幼いときから、タレントや学者として成功するまでをさかなクンの目線で書いた本です。
さかなクンの一魚一会 まいにち夢中な人生! /講談社/さかなクン
さかなクンのお母さんの愛情あふれるエピソードがたっぷり詰まっていて、育児本として読んでもとても参考になる内容になっています。
この本「一魚一会」から、面白かったエピソードを紹介します。
最初はゴミ収集車が好きだった
さかなクンは幼いときからずっと魚が好きかと思っていましたが、最初はゴミ収集車が好きだったそうです。
ゴミ収集車が大好きでずっと見ていたいさかなクンのためにお母さんはさかなクンを乗せてゴミ収集車を追いかけたそう。
毎日ゴミ収集車の後ろを車で追いかけていたら怪しいですよね。
しかし、お母さんは世間の目を気にせずさかなクンの好きなことをひたすら応援してあげました。
その後、さかなクンが魚を好きになっても、その応援は続きました。
小3で毎日一人で魚屋へ
魚が大好きになったさかなクンは小学生になって魚屋に通うようになりました。
最初は近所の魚屋に行っていたのですが、だんだんと珍しい魚を見たくなって最終的には自転車で40分、そこから電車で2駅のところの魚屋へ行くようになります。
それも一人で。
小学校3年生の子供が自分で行きたいと行っても親は心配でしょう。
しかし、さかなクンのお母さんは何も言わなかったそうです。
あとで聞いたらやっぱり心配だったというのも良いエピソードでした。
魚屋で店員さんと仲良くなり、年上の人との交流ができて自分だけの世界を作れたとさかなクンは言っています。
水族館は一つの水槽で1時間
小学生のときのさかなクンの水族館の楽しみ方は、
- まず魚を眺める
- 解説パネルを見る
- パネルと同じ魚を探す
- じっくり観察(種によって違う動きや食事法)
こんな感じで一つの水槽につき1時間ずつ見ていたので、水族館には朝から晩までずっといたそうです。
それでも毎週水族館に連れていき、さかなクンに好きなようにさせた母はすごい。
毎週毎週水族館に行きたいって言われたら連れていってあげられるかな、、、と自分に自信がなくなります。
それにしても一つの水槽に1時間も集中してられる集中力ってすごいですね。
そういったさかなクンの良いところを認めて伸ばしてあげたことが、今のさかなクンにつながっているんでしょう。
夕食はもちろん魚
さかなクンは魚の絵を描くのが大好きでした。
さかなクンがタコにはまっているときはタコの絵を描いたり、見たりするため毎日タコ料理。
大きくなってからは魚を自分でさばくようになりました。
水で刺し身を洗ってしまい水っぽくなってもお母さんは文句を言わなかったそうです。
さかなクンのお母さんはなんでも自由にやらせてあげるので、魚屋に魚を買いに行ったときの交渉などはさかなクン一人に任せました。
一人でやらせて口を出さないことで失敗を経験させる意図があったようです。
「上手な絵」よりも「オリジナリティ」
家庭訪問で先生に授業中に絵を描いていて成績が悪いと言われても、そのままで良いと子供に教えるお母さん。
苦手な分野を無理してがんばるよりも、得意なことを伸ばす大切さを知っていたんですね。
あるとき「そんなに絵が好きなら絵を習わせてはどうか?」と言われましたが、絵を習わせると型にはまってしまい、さかなクンの絵の良さがなくなると断りました。
親が期待して子供の能力を伸ばそうと先回りするのでなく子供の現状を見て、楽しんで個性のある絵を描いているということを認めていたお母さん。
成績が悪くて1,2ばかりで父親に怒られたあとも「命が取られるわけじゃないから」となぐさめてくれたそうです。
母の愛情を感じます。
畳が腐っても魚の飼育を辞めない
魚が大好きなさかなクンは必然的に魚を飼うように。
どんどん魚が増えていき、小学6年生の頃には5水槽10本に50種を飼っていました。
あまりにも大量に魚を飼っていたため、和室の畳が腐ってしまったのですが、そのときもお母さんは何も言わず、さらに魚の飼育を応援しました。
中学のときに学校に来たカブトガニを理科の先生と飼育することになったのですが、そのときにはお母さんがへそくりで大きな水槽を買ってくれました。
その結果、カブトガニの人工孵化に成功という偉業を達成しました。
子供が好きなことに取り組んでいるときの障害を取り払うのが親の役目だと気が付かされました。
正社員を断っても何も言わない
高校卒業後は専門学校に進み、その後水族館やペットショップなどのアルバイトを転々とするさかなクン。
あるときペットショップで正社員の誘いを受けます。
さかなクンはいろいろ悩みましたが、最終的には正社員の話を辞退しました。
親だったらふらふらしていた息子がやっと就職が決まったと思って説得しそうですが、お母さんは自分の人生を自分で決めたんだから良いと言ったそうです。
いろいろお母さんも思いはあったと思いますが、最後に子供が必死で出した考えを尊重してあげたのは素晴らしいです。
さかなクンは一人っ子じゃない
さかなクンの家のエピソードを読んでいると「さかなクンは一人っ子で大切に育てられたのかな」と思っていましたが、さかなクンには兄がいます。
さかなクン一人への愛情の注ぎ方がすごいのに、お兄ちゃんがいれば二人分の手間や労力がかかります。
我が家は次男ができて長男への対応がおろそかになってしまいましたが、二人目の子供でもしっかりと手間をかけている子育ては見習うところがあります。
さかなクンはいじめられない
さかなクンって独特のキャラクターで、しかも身の回りのものはすべて魚グッズだったのでいじめの対象になりそうですが、実際はいじめられなかったそうです。
その理由を本人は、
- 最初は魚のことでからかわれる
- でも気にせず大好きな魚の絵を描く
- いつのまにか「そんなに魚っておもしろいの?」と話しかけられるように
- 魚のおもしろエピソードを紹介
- 人気者になる
というパターンになりいじめられることはなかったようです。
さかなクンいわく、
「魚はせまい水槽に入れると、いじめっ子を取り除いてもすぐにいじめが起きてしまう」
そうです。
さかなクンは魚屋さんの人など、学校の外にも自分の世界を作っていたのも良かったのではないでしょうか。
子供には学校以外の別の世界を持つことも大切なんですね。
まとめ
さかなクンの家の子育てエピソードを見ていると、さかなクンのお母さんが子育てで大切にしていたことが見えてきました。
それは、
メモ
- 子供の意見を尊重する
- やりたいことは思いっきりやらせる
- ただし、そのときの困難も自分で経験させる
- 困難を常にチェックして適切なタイミングで助ける
- 子供が一生懸命考えたことは尊重する
ということだと思います。
以上のことを生かして子育てすればさかなクンのように成功するとは限りませんが、それでも子供が好きなことをのびのびできる環境を作ってあげられるんじゃないでしょうか。
「一魚一会」には他にも現在の仕事にたどり着くまでのさかなクンの苦悩など読み応えのある話も載っているので、人生に悩んでいる若者、子育て中のパパママにおすすめです。
さかなクンの一魚一会 まいにち夢中な人生! /講談社/さかなクン