の続きです。後半もクーリエ・ジャポン2013年9月号に掲載されていた「人生の9割は捨てることで決まる」の記事のまとめと感想の続きです。
7,引き算の法則で会社を強くする
こちらは、アメリカのハフィントン・ポストの記事からですが、「引き算の法則を応用すればあなたの会社も強くなる」という内容です。複雑でいろんなことが過剰になった世の中の課題を解決していく方法として、3つ、
「何を目標にして、何を無視するか」
「何を残して、何を捨てるか」
「何をして、何をしないのか」
の選択肢を提案して、実際にこれを実践した会社の例として、ツイッターやインスタグラム、サウスウエスト航空、グーグル、ピンタレストなどをあげています。確かに、これらの会社は余分サービスや機能を削ることで成功しています。
他に、会社組織の運営方法として、従業員の管理をやめ、決められた仕事をしてくれるならどこで何をしていても構わない「完全成果主義」や給与体系が複雑になるので、報酬の額を従業員自身に決めさせるという会社もあるそうです。
「捨てる」ことで新境地を切り開いた3人のIT起業家のインタビューもあります。
8,固定観念を捨てる
哲学者の小川仁志さんの記事です。固定観念を捨てることで、物事の本質を見極めて人生を充実させるためには、
①自分の思い込み(固定観念)を疑う
②その思い込みの対象がなければ本当にやっていけないのか
③思い込みを捨てる決断をする
ことだそうです。さらに、「4つのイドラ」で①の疑いを検証するとわかりやすいそうです。4つのイドラとは、
「種族のイドラ」…人間という種族がもともと持っている思い込み
「洞窟のイドラ」…個人的な経験から生まれる思い込み
「市場のイドラ」…テレビや人からなど他者の言葉が引き起こす思い込み
「劇場のイドラ」…権威ある学説や書籍などの影響による思い込み
小川さんは自分の「ツイッターをやめる行為」をこれを使って検証しています。ツイッターを初めた動機は「人にツイッターをやったほうがよい」「ツイッターをやってないなんて情報弱者だ」と言われたことで、これは「市場のイドラ」と「劇場のイドラ」が原因だとわかりました。そして、「ツイッターがなければ本当にやっていけないのか」ということを考え、実際になくても良いということがわかり、最終的にはツイッターをやめたそうです。
「捨てる」という行為を哲学的に考えることが面白いですね。こうやって順序立てて考えると、自分にとっての無駄なことが明確に分析できそうです。
哲学ってもっと難しいと思ってましたが、小川さんの話はわかりやすくて面白いです。
小川 仁志 中経出版 2010-05-12
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9,オンラインを捨てる
バラトゥンデ・サーストンという方の記事で、この方は、ベストセラー作家やCEOやパフォーマーといういろんな肩書きを持つ方らしいですが、この人はオンライン中毒とも言えるくらいネットに接続していて、1年でフェイスブックへの投稿1518回(一日平均4回)ショートメッセージのスレッド数3702回(1日平均32)、ツイート数1万1541回(1日平均10回)、Gメールのスレッド数5万9409回(1日平均163)というとんでもない数字を叩きだしています。
そんな彼が個人秘書にネット中毒になっているから不機嫌なんだと言われて、オフラインの生活をする「ネット休暇」をしたそうです。
結局、25日のネット休暇を取ったあとには、ネットの接続を自ら減らし、現実社会を楽しんだり、予定の無い時間を楽しんだりしたそうです。そんな彼が気がついたことは、デジタルで人生をよりよいものにし、世界とつながり、常にシェアすることを選んだ結果、人間は人生を実際に「生きない」リスクを負うようになったそうです。
10,感情をコントロールする
カナダのロットマン・マガジンという雑誌の記事で、逆境に負けない人になるためには、どんな状況においてもポジティブな感情を生み出せるようにならなければいけないという話です。
そして、人を成長させる感情の黄金比は3:1でネガティブな感情1につき、ポジティブな感情3が一番バランスが良いそうです。
11,禅の心を持つ
怒りや不安などの負の感情を含めた「執着」をそぎ落とし、シンプルな暮らしをすることで、人生はもっと楽になるのだと、禅のお坊さんの枡野俊明さんは言っています。
大切なことの一つ目は、「和顔愛語(わげんあいご)」といって、常に笑みを絶やさず、相手をいたわる言葉をかけることだそうです。イライラしないで笑っていることで、争いも減るということですが、それでもイライラするときは、へその下の「丹田」にぐっと留めるつもりで呼吸をしながら、自分の好きなことばを3回唱えると良いそうです。
2つ目に大切なことは、時間に使われないようにすることです。「◯◯をやらなきゃいけない、次は◯◯へ行かなきゃいけない」と思っていると時間に使われるように攻められている感じがして、こういう人は怒りや不安という負の感情を持ち易くなるのだそうです。心に余裕を持って、「◯◯が終わったから次はこれ、これも終わらせたから次はこれ」などと考えると同じスケジュールをこなしても時間に追われることはないそうです。大切なポイントは「先延ばしにしないこと」だそうです。
最後に、起こっていもいないことを常に不安がっても仕方がないということも良くないといっていました。起きるかどうかわからないことを不安に思っていても仕方がないので、そういった感情は捨てることで人生を楽に生きるという教えでした。
枡野 俊明 三笠書房 2013-08-22
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12,物欲では満たされない
この記事を書いたグレアム・ヒルという人は元々IT企業の売却益で儲かり、大きな家を購入して好きなものを買い集めていたそうです。しかし、ある日、自分が消費した物によって自分自身が消費されることに気がついてシンプルな生活を初めて、大量にモノを減らしました。
グレアム・ヒルが言うにはモノを増やすと、そのモノの管理によって時間が奪われ、自分がモノを支配しているのではなく、モノが自分を支配するようになるといっています。確かに、車を買えば保険やエンジンオイル、点検などの手間がかかりますし、家を買えば草取りなどの家の管理をしないといけなくなります。ある研究によるとロサンゼルスに住む32世帯の中流家庭を調査したところ、全家庭の主婦のストレスホルモンは所有するモノの管理に時間を取られていることがわかり、さらに、調査対象となった家庭の75%はガレージに物がありすぎて車が停められなかったとのことでした。
結局、グレアム・ヒルは人生で一番大切なものは目に見えるのものではなく、幸せな人生に不可欠なものは大切な人との関係や人生経験や有意義な仕事であるという。
モノを増やしすぎると物理的なスペースばかりでなく、精神的なスペースまで占拠してしまうことに注意をする必要があると言っています。
この記事は今回の記事のなかで一番説得力があって共感できました。モノが多すぎれば愛着がわかないし、結局のところ、モノよりも大切なことがあって、モノが多すぎてしまうとその大切なことに目を向けられなくなってしまうということだと思いました。
彼は有名なプレゼンテーションのTEDでもこのことについて講演しているので、聞いてみると面白いですよ!
13,人生に不要なものから捨てていく
この記事はニコデマスとミルバーンという二人の話で二人は、自分たちのことを「ミニマリスト」と呼び、http://www.theminimalists.com/というウェブサイトを運営しています。
彼らは、元々大企業の営業で働いて年収1,000万円を超えるまでになり、高級住宅や高級車など高級と呼ばれるものはなんでも所有していました。しかし、母親の死で、記憶とはモノの中に宿るのではなく、自分自身の中にあると気が付き、数枚の家族写真を残してすべて処分したそうです。更に離婚を経験したことによって人生で何が重要なのかわからなくなったそうです。
結局、二人ともモノを減らすことになり、一人は「梱包パーティー」と名付け、自分のモノをすべてダンボールに入れ、必要なものだけを出して行くことで実際にはいらないモノが多かったと気がついたそうです。
14,まとめ
今回のクーリエの特集は自分が興味がある「モノを減らす」ことだったので面白かったのですが、この特集では捨てるという行為を「ネットとの過剰な関わり」や「不安や怒りなどの感情」など、物以外にも焦点を当てていたところがナイスでした。
何かで読んだのですが、「大量の物に囲まれていると、本当に大切なモノがわからなくなる」という言葉があり、とても共感しました。モノを捨てることにより、自分が本当に大切なモノが何なのか初めて気がつくのかもしれません。
この記事の中で「買うのは簡単だけど捨てるのは大変」という言葉があり、まさにそのとおりだと思いました。買うときはお金を払えば買えるけど、捨てるときには自分の心と戦わないといけません。捨てるのも一つの「決断」です。モノが増えすぎると、そんな決断をたくさんしていかないといけないと思うと憂鬱になります。ぼくは、不動産関係の仕事をしていたので、場所をとることはお金がかかることだと知っていますからなるべくモノを減らそうと常に心がけていますが、これらの記事を読んで自分はまだまだだと感じました。
モノを減らし、無駄な行動や感情減らし、すっきりすることでシンプルな生活をし、自分に本当に必要なモノが何かということに気がつくことは人生を本当に「生きる」ということに繋がるのかもしれません。
講談社 2013-07-25
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