書評(本)

上里隆史の「目からウロコの琉球・沖縄史」の書評

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最近、旅行をする前に旅行するところの歴史などを勉強してから行くようにしています。先日、栃木県の日光東照宮に行ってきましたが、そのときも徳川家の話を勉強して、日光東照宮の見どころなどを知ってからいきましたが、やっぱりガイドブックに書いてある情報だけよりも何倍も面白い旅行が出来ました。

今回、沖縄に行くにあたって小林よしのりの「沖縄論」という本を買って読みましたが、それとセット目からウロコの琉球・沖縄史―最新歴史コラムも買って読みましたので、その感想をまとめてみました。

 

1.本の説明

こちらの本は琉球・沖縄史を研究している上里隆史さんがブログで書いていた内容を加筆修正してまとめた本です。最近はブログから本になることって結構多くあるんですね。内容は、沖縄の古代から現代(第2次世界大戦前まで)までの歴史と、その間にある人々の生活、琉球王朝の話、沖縄の宗教の話、薩摩、明との関係などを面白いエピソードを踏まえて書かれている本です。

ちょっと難しい内容のところもありますが、基本的にわかりやすくかなり噛み砕いてかいてあるので、沖縄の歴史に興味を持った人が入門書として買って、ここからもっと興味を持ったら別の本を買って読んでいくと良いと思う琉球・沖縄史の入門書的な本だと思います。

 

2.琉球・沖縄のトリビア的な話が面白い

歴史って偉い人、例えば王様やその国の政治の頂点にいる人達の改革や国の動きを中心として語られることが多いですが、この本ではもちろんそういった内容も記載されていますが、一般庶民の話や琉球王朝の政治とは関係ない話もあって面白いです。

例えば、昔の琉球の王様の洗髪はシャンプー代わりにたまごの白身を使っていたそうで、たまごの白身を紙に塗ってそのあと手ぬぐいで拭きとるのだそうです。すすぎはしなかったようなので、多分すごい臭かったんじゃないかなと思います。洗髪に使った時に使わなかった黄身はちゃんと家来が食べたそうです。もったいないですもんね。

昔の沖縄の人の普段着は中国系の服ではなくて普通の着物のような物だったそうです。中華系の服も着ることはきますが、儀式のときなど限られたときで、しかも着心地が悪かったから儀式が終わったらすぐに脱いでしまったそうです。

嵐にあったときの対処方法も載っていました。嵐にあうとまずやることは「神頼み」だったそうです。ある人が実際に嵐にあってどうしようもなくなったときに、まずは沈まないように積み荷を捨て、全員が髪を切って祈った。それでもダメなら「きこえおおきみ」という神様にお願いして、それでもダメなら「きこえおおきみ」に「無事に帰れたら首里城の聖なる水を献上します」と誓いをたてました。それでもダメなら「普天間権現」という別の神様に「無事帰れたら7日間参拝して感謝します」という誓いをたてたそうです。

それでも嵐がやまなかったので、船を転覆させないようにマストをおって更に、弁財天という神様に祈り、それでもダメなら中国の道教の天尊という神様にお祈りをしたそうです。結局、その人達は助かったそうですが、ひたすらいろんな神様にお願いしていますね。しかし、海のうえでコントロールの効かなくなった船の上ではお祈りするしかなかったのでしょう。当時の船旅の過酷さがわかります。

 

3.有名人が沖縄に漂着したかもしれない説

チンギス・ハーンは巨大なモンゴル帝国を作り、その孫のフビライ・ハーンは元という国を作りました。そして、元も最終的に廃れて次の明という国が出来たときに、そのときに元の最後の皇帝だったチンギス・ハーンの末裔は元の時代に良い政治もしたという理由で殺されずに沖縄に島流しにあったそうです。これは、中国の歴史書にも書いてある本当の話らしいのですが、その後の沖縄の歴史の中には登場してこないので、沖縄での生活はわかっていないそうです。もしかしたら、沖縄県民の中にチンギス・ハーンの末裔がいるかもしれないんですね。

他にも歴史上の有名な人が沖縄に辿り着いたという話があります。こちらは、確証がないのであくまで「説」ですが。大阪夏の陣で敗れた豊臣秀頼が大阪から薩摩経由で琉球に渡った可能性があるという話です。当時、海上のルートとして実際に大阪から薩摩、琉球へと渡る方法があり、徳川家康にもそういったうわさが持ち込まれたことがあるそうです。三浦按針(ウィリアム・アダムス)が貿易で琉球に立ち寄ったときに「大阪から流れてきた位の高い人」がいるという話を聞いたそうです。秀頼が薩摩に流れたという説もあるので、そのあとに沖縄まで行ったという話も否定しきれないですね。そういったところが歴史の面白いところだと思います。

 

4.まとめ

コラム形式で書いてあるため、とても読みやすい本です。この一冊を読むことで琉球・沖縄の歴史、文化、成り立ちなどがわかりこれを読んでから沖縄旅行に行くと首里城やセーファーウタキなどで違った見方ができるかもしれません。

旅行に行く前に読んで、旅行に持っていくのがおすすめです!

by カエレバ

 

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