子供のときに誰もが一度は考える「死」。
「人って死んだらどうなっちゃうの?」と聞かれても親が正確な答えを子供に教えてあげるのは難しいです。
そういうときは絵本に教えてもらいましょう。
今回紹介する「わすれられない おくりもの」は主人公の「アナグマ」が死んでしまい、森のみんながアナグマとの思い出を語り合うお話です。
絵本「わすれられない おくりもの」の基本情報
基本情報
- 文 絵 スーザン・バーレイ
- 訳 小川 仁央
- 評論社
- おすすめ年齢 4歳〜
文章が多いので、読み聞かせするなら4歳くらいからがおすすめです。
「わすれられない おくりもの」のあらすじ
物知りで人助けが好きなアナグマは森のみんなに好かれていました。
しかし、アナグマかなり年をとっていて、自分がもうすぐ死んでしまうことに気がついていました。
アナグマは自分が死ぬのは怖くないから、死んだ後みんなに悲しまないように手紙を書きました。
アナグマが死んだあと、悲しみに包まれた森のみんなは集まってアナグマの思い出話をすることにしましまた。
モグラは切り紙の方法を教えてもらったことを。
カエルはスケートを教えてもらったときのことを。
狐はネクタイの上手な結び方。
ウサギの奥さんは料理を。
森のみんなはアナグマが残してくれたものの豊かさを思い出し、悲しみが薄まり、アナグマとの楽しい思い出を思い出すようになりました。
死んだあとも思い出が生き続ける
アナグマは生前、森の仲間にいろいろなことを教えてあげました。
そして、それはアナグマが死んでしまったあとも森の仲間に残り、彼らの生活を豊かにしてくれました。
アナグマが死んでしまっても、アナグマがみんなに残した技術や知識はなくなりません。
また、アナグマの優しさはみんなの思い出となって心の中で生き続けます。
人はいなくなっても、残った人の中で生き続けるということを教えてくれます。
死の悲しみの和らげてくれる絵本
人が死ぬのは悲しいです。
死んでしまえばもう会うことはできなくなり、新しい思い出を作ることもできなくなります。
ぼくは二十歳のときに母親を亡くしました。
親は子供よりも先に亡くなるものですが、想像よりもずっと早くいなくなってしまったので、そのときの悲しみはとても大きかったです。
しかし、それから10年以上経っても母親との思い出はたくさん心の中にしまってあります。
母親が自分に残してくれたものは言葉では言い表せないくらい大きなものであり、それが今でも自分の中に生きていることが実感できます。
今では「わすれられないおくりもの」の話をとてもよく理解できますが、自分の子供に誰か身近な人が死んでしまったときにぼくの言葉で説明するのはとても難しいです。
そんなときには、この絵本を読んであげて死への悲しみを和らげてあげようと思います。
医療が進んで死が身近ではなくなった現代では死について考えることがなくなりました。
そうなると突発的に起こる病死や事故死に対する心の備えができてなくて、動揺してしまいます。
そんな場合にこの絵本は子供だけでなく、大人の心も落ち着けてくれる一冊です。
ずっと手元においておきたい素晴らしい絵本です。
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