書評(本)

「里山資本主義」藻谷浩介 の感想と書評

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最近、持続可能な社会というテーマについて考える事が多いです。今まで大量に消費してきた社会は今後続かないのではないかと思っていたところ、この本を見つけました。

キレイ事ばかり言って現実を見ていないエコ本はたくさんありますが、この本は現実的な方法で、日本の未来について1つの答えを描いている本だと思います。

 

この前、本屋に行った時に気になった「里山資本主義ー日本経済は安心の原理で動く」を購入してみました。最近の資本主義は増長しすぎていて、お金のチカラ「マネーパワー」が強すぎて、お金のイメージだけが膨らんでしまって、実態とかけ離れているんじゃないかと常々思っていましたが、「里山資本主義」にその答えを見つけることができそうな気がして購入しました。

 

・里山資本主義とは

一言では言い表わせないですが、里山と呼ばれる日本の古来からの里と隣接した山を活用した生活モデルのことだと思われます。しかし、里山資本主義は極端な非文化的な、例えば電気のない江戸時代のような生活をすることではなく、出来るだけを石油などの化石燃料から里山を資源としたエネルギーに変えていくことです。

もちろん家には電気、ガスなどをひきますが、エコストーブと呼ばれる、灯油缶のような缶に穴をあけて、パイプの煙突をつけた燃焼器具を使ってご飯をたくことも1つです。

山に行って枯れ枝を数本拾ってきて、火をつけるとすぐに火がついて燃焼効率が良く、薪を使わなくてもご飯がたけるそうです。キャンプ好きの自分としては1つ欲しくなりました。

by カエレバ

こういう燃焼効率の良いストーブって災害用にも役に立ちますよね。というか里山であれば、災害時にも周辺に豊富に食料があるので、家が無事ならば生活自体はそんなに変わることはなさそうです。

 

・エネルギーを外に依存しない

石油は限りある燃料で、最近は石油価格の高騰により石油のある生活に依存しすぎるのも危ないと思われてきました。そんな問題の答えがオーストリアの田舎町や日本の中国地方の山奥にありました。

その街では、林業を活用し林業で廃棄される木材のカスを集めて木質ペレットという燃料を作っています。

by カエレバ

そして、木質ペレットを燃料に使った発電所を建設し、今まで街の外から購入していた電気、最終的には石油に行き着くため、中東諸国に流れていたお金を町の中で循環することができるようになり、さらに町に雇用も産まれるようになったそうです。石油の価格高騰にも左右されないため、安心して使うことが出来ます。

木質ペレットは木材の生産過程で作られる燃料です。そのため、木質ペレットの安定的な供給には林業が欠かせません。しかし、今の日本の林業は安い木材を海外から輸入していて、衰退しています。

 

・木造高層建築という答え

オーストリアでも同じような問題に直面し、そこで木造建築を増やすようにしたそうです。しかし、木造建築では高層階の建物を建てるための強度がありません。そこで、木材を貼りあわせて作る「集成材」という木材を使うことにしました。

集成材は現時点で日本の住宅にも使われていますが、従来のものと違って木目が交差するように木材を貼り合わせることで、高層建築にも耐えられる住宅が作れるようになるそうで、オーストリアではすでに木造高層建築が作られているようです。

こうして、木材を使うことで安定的に木質ペレットを生産して、地元にはエネルギーを提供することができるそうです。

現在、日本では木造高層建築は法律上作ることが出来ないのですが、早く作れるようになって、日本の林業が復活することで、里山が息を吹き返してほしいです。

ちなみに、オーストリアでは林業の安定的な生産のために伐採をコントロールして切りすぎないようにしているようです。しかし、日本では適切に管理、伐採されていないことで、木が増えすぎて逆に山に良くない状態だそうです。

早く木造高層建築ができれば良いと思いますが、既存の鉄骨、コンクリートなどの資材屋の利権が荒らされるので、なかなかスムーズには進まないでしょう。

by カエレバ

本書ではまだまだ建築許可も下りなくて苦労していると書かれていましたが、データ的には耐火性能や耐震性能も充分あるそうです。

 

・現代の生き方に疑問を投げかける

この本は「藻谷浩介」氏と「NHK広島取材班」の共著となっていますが、著者の藻谷浩介さんは、日本政策投資銀行特任顧問という肩書があり、経済的な側面からもしっかりとデータを取って世の中の矛盾を暴いています。

景気が悪いと言われている本質を人口減少が理由であり、日本の会社はむしろ成長していることをデータで示したりしています。

現在の日本のある若者を例にあげて、

「もっと稼がなきゃ、もっと高い評価を得なきゃと猛烈に働き、帰って寝るだけの生活。ご飯を作る余裕もなく外食し、家事も出来ないので下着は新品を買う。そのため、支出は増えて更にお金を稼ぐ必要性が出てくる。」

というような状況を説明していますが、まさにこのように当てはまる人が、現代のサラリーマンに多いのではないかと思います。現在の資本主義は、アメリカ風の大量消費型になってしまっているという問題点をついています。

日本人の生き方を変えるため、考え方に疑問を投げかける必要性を説いています。

 

・感想のまとめ

鬱の人が増え、自殺者が増えるということは、世の中が何かおかしな方向へ行っているからだと思います。しかし、今までの生活の何がおかしいのかわからないけど、漠然とおかしいということに気がついている人には、ぜひ読んで欲しい一冊です。

ユニクロやワタミのようなマッチョな資本主義に耐えられる人なら良いと思いますが、そういった社会に何かおかしいと思ったら、この本で答えを見つけられるかもしれません。

個人的には最近、身の回りのモノを減らし、必要最低限で暮らすように毎日家の片付けをして、いらないものを処分したり、あげたり、売ったりしています。そして、食事も家で家族とゆっくり取るようにしています。たまには外食に行きますが、やっぱり家で食べるご飯が最高だと気が付きました。

実態のわからない、目に見えない言葉だけの「エコ」が蔓延しているなか、この里山主義が持続可能なエコな社会を作り出す1つの答えだと思いました。

by カエレバ

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