先日、「Jin-仁-」のマンガをすべて読み終わりました。読み終わって最初に思ったことは「ドラマ観ておけばよかった〜〜〜」です。正直、ここまで面白いマンガだとは思いませんでした。きれいに終わっているのも良いです。
作者の村上もとかさんという人のことを知らなかったのですが、一番最初に驚いたことは作者が「男性」だったことです。なんとなく絵の雰囲気と「もとか」という名前から女性だと思っていました。すいません。
「Jin-仁-」以外にも代表作があって「六三四の剣」という剣道マンガは全国で剣道ブームを巻き起こしたほど人気になったそうです。そういえば名前は聞いたことがありましたが、作者は同じだったんですね。
・ただのタイムスリップものではない
なんとなく、タイムスリップしたことを中心に話を進めていくマンガかと思いましたが、タイムスリップのことは忘れてしまうくらい別の話の内容が濃いです。医療、歴史、江戸の文化、人生ドラマなどのいろんな要素が盛りだくさんのマンガです。これは、ドラマが人気だった理由もわかります。
・「もし…だったら」の要素が面白い
もし現代の医者が江戸時代にタイムスリップしたら?という形のストーリーで、現代の外科医が江戸時代にタイムスリップして医療行為を行うのですが、江戸時代という医療設備や薬の整っていない時代で、人の命を救おうと知識をフル活用して病気や怪我と戦う姿は感動します。
それにしても南方先生は万能すぎます。身近な医療関係者に聞きましたが、あれほど万能な医者は普通いないし、薬のことわかっていない医者も多いそうです。普通に今の外科医が江戸時代に行ってもあそこまでは活躍出来ないらしいです。
医療行為に関する説明がものすごく詳細で、医療関係者に協力してもらい江戸時代に知識さえあれば可能な手術なのかどうかということを考証してストーリーに盛り込んでいるのがわかり、リアリティがあって面白いです。こういうマンガって、詳細な説明はほとんどの人は読まないと思いますが、なければないでマンガの内容が薄くなるので、リアリティって大事なんですね。
ただし、注射器はどうやって作ったんだろうというのは最後まで気になりました。あんな細い針どうやって作るんだろう?
・江戸の文化がわかって面白い
時代が幕末ということもあって、勝海舟や坂本龍馬なども登場し、歴史の大きな流れも描かれて、主人公の南方仁もその歴史の流れに巻き込まれていくのですが、視点としてはいち町医者の視点で物語は描かれています。
当時の流行りものや文化が伝わってくるシーンは読んでいて、江戸時代に入り込めそうな臨場感があってワクワクします。吉原の細かいしきたりや、江戸時代の相撲の話、歌舞伎の話、旅の話なども当時の時代背景をかなり検証してから描いていることがわかる内容になっていて、江戸時代の文化を知る目線で読んでも面白いと思います。
・江戸時代のはやり病
江戸時代に流行った病気と戦う南方仁の奮闘と大変さから、現代の医療事情は本当にありがたいものだと改めて気が付きました。江戸時代の死んでしまっていく人たちをなんとか助けたいと懸命に治療する南方仁はかっこよすぎです。
当時のはやり病の恐ろしさも伝わってきます。麻疹で大勢人が死ぬということは現代では考えられないですが、当時は恐ろしい病気の1つだったのですね。
また、江戸時代に白米が流行ったことによって増えた「脚気」という病気の怖さも知りました。食事で改善できるけど、それを知らないために大勢の人が亡くなったということも教えられました。
・まとめ
ドラマあり、歴史あり、医療あり、文化ありの盛りだくさんのマンガです。仁を読んでまだまだ自分の知らない面白いマンガがたくさんあるんだということを知りました。
それにしてもこのマンガ調べること多すぎだと思うのですが、よく作者は10年もこのマンガを続けられたと思います。
村上もとか 集英社 2011-03-17
|