育児をしていくときに「この子が大人になったときには、どんな社会になっているんだろう?」と思ったことがありませんか?
親は常に子供の将来を心配しますが、もっとも心配なことの一つが「仕事」じゃないでしょうか。
ぼくは、子供を育てる上で「仕事」については結構重視しています。
「学校で良い成績を取る」のは「良い大学にいく」ため。
「良い大学に行く」のは「大企業に就職する」ため。
「大企業に就職する」のは「安定した将来が約束される」ため。
これらが今までの日本で一番手堅くてわかりやすい将来設計でした。
みんなこの流れを目指した時代がありましたが、現在世の中は大きく変わってきています。
大企業でも潰れてしまったり、海外の企業に買収されたりするので、安泰とは言えなくなってきました。
絶対安全と言われて就職人気ランキングでも常に上位にいた銀行でも、将来の見通しは暗いです。
そんな世の中だと正解がわからなくなって「何を目指して子育てをすれば良いのか?」と悩んでしまいます。
その答えを求めてちきりんさんの著書「未来の働き方を考えよう」と読んでみました。
ちきりんとは?
ちきりんさんは「社会派ブロガー」というジャンルのブロガーです。
独自の目線で世の中を切る文章が人気で、SNSでも話題になることが多い人。
バブル最盛期に証券会社で働き、アメリカの大学院に留学を経て、外資系企業でバリバリ働いていた女性です。
2010年に退職してからは自分の好きなことをして生きることを決め、分筆活動や対談をしながら暮らしています。
データを元にした論理的な考え方をしつつ、そこから導き出される独自の解釈が好きで、なんどもブログ記事を読みました。
主なテーマは「働き方」「金融」などの他に社会全般について書かれています。
著書もいくつか出されています。
- マーケット感覚を身に着けよう「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 自分のアタマで考えよう
- 自分の時間を取り戻そうーゆとりも成功も手に入れるたった一つの考え方
- 社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!
「未来の働き方を考えよう」の内容
本書はビジネス書と自己啓発本の間のような本。
未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる /文藝春秋/ちきりん
自己啓発本だと「人生はいつ終わるかわからないから、今を全力で生きよう」みたいな感じで生き方について熱い本が多いです。
だけど、この本は「だからこそ、本を読んだり、ドラマを見たり自分の好きなことをするのが大切」と言っていて人生をゆるく考える提案をしているのが自己啓発本とは違うところ。
押し付け感がないので読みやすいです。
肩の力を抜いた生き方を提案しつつも、情熱のあること、やりたことをやる大切さを説いている本です。
人口から未来を予測する
ちきりんさんは未来を予測するのに「人口推移」を利用しています。
昔ぼくも「確実な未来予測の指標ってなんだろう?」と考えましたが、その時の答えが人口でした。
子供が生まれた分しか人口は増えないし、生まれた人が大きくなっていくに従って減ることはあっても増えることはないですから、未来予測に便利です。
移民を利用すれば増えるでしょうけど、今の日本で急激に移民が増えるのはちょっと考えにくいので、人口統計は数少ない未来予想で確実性のある指標でしょう。
仕事に対する考え方が変わっていく
日本の人口が減れば日本の国内市場が減っていく。
国内市場が衰退していく中でも企業は株主に常に成長を求められているので、売り上げを伸ばすためには海外に出るしかない。
そうなれば今後さらに日本人は海外に出て働くようになります。
今までは海外と言えば工場が多かったのですが、ホワイトカラーの仕事もどんどん海外に拠点を移すことになっていくと言っています。
共働きが増えていますが、夫婦で別の国に転勤なんてこともあります。
そうなった場合、女性が仕事を辞めて男性についていくことがほとんどでした。
欧米では日本と違い性別関係なく、キャリアアップができそうな方に仕事を辞めてついていき、現地で仕事を探しなおすということも多いそうです。
日本もそうなっていくのではないでしょうか?
専業主夫という言葉も増えてきていますし、今までは「結婚、出産、育児」のときに仕事について考えていたのは女性だけでしたが、これからは男性も考える必要性が出てきます。
今の子供が大人になるころには、仕事に対する価値観がさらに変わっているかもしれません。
子供には柔軟な考え方を教えて、新しい価値観を否定しないことも大切なのでしょう。
なくなる仕事もあることを意識する
世の中が変わるにつれて仕事も変化していきます。
昔は電話をつなぐために「電話交換手」という仕事がありましたが、いまではなくなっています。
ITが普及していくなかで、これからどんどんなくなる仕事も増えていくでしょう。
自動運転が普及すれば「タクシー運転手」「バス運転手」「トラック運転手」などの運転系の仕事がなくなります。
そんな世の中では「市場が成長し続ける分野」「需要に供給が追いつかない分野」が良いと著者は言っています。
今で言えば「看護師」「介護士」などですね。「保育士」もまだ不足しているのかもしれません。
友達の看護師は、途中で仕事を辞めてオーストラリアに1年行っていましたが、帰ってからすぐに仕事が見つかりました。
「需要に供給が追いつかない分野」だから、常に求人はあるんですね。
そういった分野の仕事について興味を持ってもらったり、一つの仕事だけでなく別の仕事を途中から覚えたりできるような子育てが必要ですね。
「一つの仕事を一生続ける」ことができれば良いですが、それは誰にもわからないので、いくつになっても新しいことに挑戦することが大切です。
市場感覚を身につける
ちきりんさんは、子供には「社会で求められる価値を提供する力をつける」ことが大切なんじゃないかと言っています。
社会で求められる価値について考えてみましたが、
- 世の中の問題を探す
- その問題の解決策を探す
- 問題解決方法を提供する
ということなんじゃないでしょうか。
例えば今の社会の問題なら、
- 人出不足問題
に対して
- 人間に変わって仕事をしてくれるロボットの提供
- 優秀な人材を紹介
などの解決策を提供することでしょう。
「問題を探す」「解決する」というのは、今までの勉強だけでは身につかないものでしょう。
そのためには、「困難に直面する」「乗り越える」という経験を積むことが大切でしょう。
そのために親ができることは「見守る」「サポートする」ことではないでしょうか。
子供が挑戦したいことはさせてあげる。
そのときに苦戦していても手出ししないで見守る。
どうしてもできないときにはちょっとだけサポートして、最終的に子供が自分でできるようにする。
「できた!」という成功体験を増やしていく。
以上が将来仕事に困らないための子育てでしょう。
まとめ
「未来の働き方を考えよう」の中に発展途上国で路上で物売りをする子供の話がでてきます。
そういった子供たちは外国語を覚えて観光客にたくましく物を売ります。
今回将来子供が仕事に困らないための子育てについて書きましたが、本当に大切なのは「生きる気力」なんじゃないかと思えてきました。
発展途上国の子供たちは「生きる」ために商売をします。
歴史上戦争や不景気などいろいろ大変な時期がありましたが、そんなときでも生きている人がいるから、いまの時代に人がいます。
「生きる気力」があれば、予測できない未来でもなんとか生きる方法を見つけて生き残るでしょう。
そう考えたら本当に必要な育て方は「生きる気力」を育むことかもしれません。
未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる /文藝春秋/ちきりん