読んだ本の書評

「学者は語れない儲かる里山資本テクニック 横石知二」の感想と書評

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 昔、大学でまちづくりの研究をしていた頃、どこかで「料理用の葉っぱを売ることで、高齢者の仕事を作りまちおこしをした」という話を聞きました。そのときは、すごいことを考えるなあと思って関心していたのですが、そのことがあれからずっと頭の中でひっかかっていました。

 そして、最近本屋をうろうろしていたらその仕掛け人である横石知二さんの本を見つけたので購入しました。

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◆著者

 著者は1958年に徳島県に生まれました。徳島県農業大学校園芸学科を卒業後、上勝町の農協に営業指導員として就職します。田舎での人間関係や仕事の進め方に苦労しながらもがんばりますが、ある年にまちを大寒波が襲い、主力産業であるみかんの木がやられてしまって代わりの作物を考えます。そのことがきっかけで、まちの新しい産業を考えるようになり、住民すべてにとって良い方法だと思った料理用の葉っぱを売るビジネスを思いつきます。

 苦労して葉っぱビジネスを軌道に乗せた現在は、株式会社いろどり代表取締役社長として活躍し、2002年にアントレプレナーオブザイヤー日本大会特別賞、2003年にソフト化大賞受賞、2007年ニューズウィーク日本版「世界を変える社会起業家100人」など様々な賞を受賞しました。

 本書で紹介されている葉っぱビジネスは2012年に「人生いろどり」という題名で映画化もされています。

 

◆本の概要

 本書は日本の田舎が今後どうやったら活性化するかについて、著者の体験談を踏まえて説明しています。

最初に農業指導員として就職したときの住民とのやりとりの苦労や、その後、葉っぱビジネスなど新しいことを次々と展開していったときの苦労。何十年にも渡る著者が体験したからの濃密な内容で、特に田舎での人間関係の気付き方、仕事の進め方についての内容が充実しています。

 葉っぱビジネスの成り立ちについても本書を読むとわかりますが、本書はそのことだけでなく町の活性化の全体的な内容について書かれています。

 葉っぱビジネスについての詳しい話は多分こちらの本に書かれているかと。

◆本書からの気付き

 葉っぱを売って仕事を作ったすごい人ということで注目され様々な賞をもらっている著者なので、てっきり「今後の日本の地域を活性化させるためには」などの大きな目標について熱い気持ちが書かれているかと思いきやそうではなく、著者はあくまで「目の前」の「問題解決」に興味があり、大きな遠くの問題よりもまずは目の前の手に届く問題を解決することが先決であり、そのことが大きな問題を解決する糸口であると言っています。

 今の日本の一番の問題は「高齢化社会」と「少子化」であり、著者が一生懸命取り組んでいた問題はこの2つに直結するものであり、特に高齢化社会の問題を解決するための「医療費の削減」と「税金収入の確保」「元気で長生き」などにつながっています。

 葉っぱを売るビジネスが成功したことで、高齢者が働く場所ができ、さらに売上げランキングを公開したことで、仕事のやる気につながり、高齢者が病院に集まることはなくなり、町の医療費は削減され、税収や移住者も増えていったそうです。

 結果として、高齢化社会の問題の解決策の一つとなり、目の前の小さな問題が大きな問題の解決策につながることがわかりました。

 

◆こんな人におすすめ

 自分の田舎に帰って、故郷を良くしたいという思いがある方にはぜひとも読んで欲しい本です。

 小さな地方自治体にはこれを読んでもらうことで怪しげな「自称まちおこしコンサルタント」のような人に騙されて無駄な税金を払うこともなくなるでしょう。

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