毎月必ず読んでいる雑誌が「クーリエ・ジャポン」ですが、この雑誌の今月の特集、「人生の9割は捨てることで決まる。」が面白かったので要約してみました。現代は情報や物や選択肢などいろんな物であふれているので、この生き方は参考になると思います。全部で12の知恵にまとめられました。
1,捨てることと集中すること
メールをしたり、電話をしたり、ネットをしたり最近はいろんなことを同時並行で行う「マルチタスク」が容易な環境になりましたが、この記事では実際にマルチタスクは「生産性を高める」ものではなく「生産性を低下させるもの」だと説いています。ある研究によるとマルチタスクの生産性は最高40%も下がっているそうです。また、メールが来たり電話が来たりして気が散ると一晩眠れなかったことと同じくらいのIQの低下があるそうです。
この記事の著者は、もともとメール書いたり、レポートを書いたり、会議中に携帯でメールをチェックしたり、とマルチタスクな仕事環境でしたが、マルチタスクをやめることで5つの発見をしたそうです。
1つは、子どもと遊んだり散歩したりしているときに携帯の電源を切ることで、目の前のものにしっかりと向き合えるようになり、自然の美しさに気づいたりして、マルチタスクをやめることの素晴らしさを発見したとのこと。
2つ目は、難しい仕事を集中してこなすことができた。
3つ目は、いくつものことを同時にこなさなければいけないというプレッシャーから解き放たれ、ストレスが軽減した。
4つ目は、ダラダラした会議などの、時間の無駄だと思うことに我慢できなくなった。
5つ目は、価値があり、楽しいと思うことに粘り強くなったようです。
マルチタスクをやめることで、目の前のことに集中できるということですね。
2,無駄な時間を捨て、エネルギーを集中する
次の記事は元バックパッカーの米田智彦さんという方でした。この方は、身の回りのものを捨て、アパートを引き払ってスーツケース一つで1年間東京を旅するという生活実験「ノマド・トーキョー」をしたそうです。米田さんは最初に、モノを買うのは簡単なのに捨てるのにはかなりの時間と労力がかかるということに気がついたそうです。そして、実際に捨ててみて、なくては困るというものはほとんどなかったそうです。ぼくも昔バックパッカーをしたのですが、確かにバックパック一つに入るものだけで全ては事足りました。さらに、米田さんは最近はクラウドサービスなどの充実で、ネットにつながれば仕事ができるし、コンビニでプリントしたり、コインランドリーで洗濯したりと、現在ではモノをシェアすることが楽になっていると言っています。
また、海外に行って帰ってきたら、友達同士が話しているニュースについていけなかったこともあったけど、実際にそれはどうでもよい情報だと気がついたそうです。
確かに、ニュースに追われて情報を集めても、知らなくても生活できることって多いですからね。
米田 智彦 ダイヤモンド社 2013-03-15
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3,時間管理という発想を捨てる
「週4時間だけ働く」という著書を書いたティモシー・フェリスさんの記事です。彼は、「無駄な時間の80%は20%の物事に原因がある」と説いています。具体的には、生産性の80%を生み出すのは仕事の20%であり、無駄な時間の80%を生み出すのは原因となりうる物事の20%だと言っています。そして、時間を無駄にする20%の原因を取り除き、生産性の高い20%のしごとに出来る限りのエネルギーを注げばより効率的に仕事ができるのだそうです。
彼の記事で面白かった内容ですが、以前、彼は仕事でほぼすべてのストレスが二人の顧客のせいだと気がついて、その二人の顧客に警告を与えてたそうです。すると、一人の顧客は態度を改め、もう一人の顧客は離れていったそうですが、そのおかげで仕事が円滑に進むようになり、収益も増えたそうです。確かに仕事を進める上でのストレスって特定の原因によることが多いですからね。
彼は、最後に「時間を管理する」という発想を捨てるように言っています。時間を管理しようとしている時点ですでに時間を「出来る限りのことをするための枠」として捉えて、限りある時間の中に予定を詰め込んでしまうからだと言っています。彼いわく、「生産性を最大限に高めるためには、時間内にできる仕事を増やすのではなく、仕事そのものを減らすことに目を向けることだと言っています。
確かに、目的を見失って会社の社長が社員を暇にさせないように、社員にやらなくても良い仕事を作り出しているような場合もあると思います。実際の目的は、「最小限の働きで最大限の利益」だと思うのですが、目的を履き違えると無駄な動きが多くなるでしょう。目的を「仕事を減らすこと」にすることによって、効率的な作業方法を考えるという発想の転換が必要なんですね。特に公務員なんて「仕事のための仕事」が多いんじゃないでしょうか?
ちなみに、このティモシー・フェリスさんの本はぼくも買って読みましたが、なかなか面白い本でした。
ティモシー・フェリス 青志社 2011-02-03
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4,最良の結果を得るために選択肢を捨てる
この記事を書いた人はシーナ・アイエンガーというコロンビア大学のビジネススクールの教授で、NHKのコロンビア白熱教室にも登場します。シーナさんは人は選択肢が多すぎると思考が停止してしまって選択することをやめてしまうそうです。面白いジャムの実験の話があって、24種類のジャムと6種類のジャムをスーパーの試食コーナーに置いておいたら、試食する人が多かったのは24種類のジャムだったけど、結局、購入者が多かったのは6種類のジャムの時だったそうです。
人生で選択肢を減らすためには、なんでもかんでも自分で選択しないで、選択が上手なジャンルを幾つか選んで、そのジャンルのエキスパートになり、それ以外は得意な人に意見を求めるなどして、頼ることが必要だと説いています。
実際に、ぼくはなんでもかんでも調べたがりで、人の意見を求めることは少ないですが、やはり人間の時間には限りがあり、なんでもかんでも情報を得てから選択しようとすると膨大な時間がかかることに気が付きました。上手にエキスパートな人の意見を聞いて参考にして選択することが秘訣なんですね。
シーナ・アイエンガー 文藝春秋 2010-11-12
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5,成功したいなら学歴を捨てろ
大学に行った学生たちが投資家から資金を得て大学をやめるということに焦点を絞った記事でした。ここで紹介されている若者たちは投資家の前でプレゼンをし、資金を得て大学を辞めて自分の好きなビジネスに力を注いでいます。
フェローシップというこのプログラムに参加して出資してもらった若者たちは、チャンスを活かそうと企業の道を歩み、大学で学ぶよりも企業の道のほうが刺激的で面白い人生だと言っていました。
しかし、記事の後半で冷静な若者もいて、自分の力を試すのに出資はいらないから大学に行きながら自分のやりたいことに挑戦するというアプリ開発者もいました。
ぼくも、自分の目的のために大学進学が必要ならいけば良いし、必要ではないなら辞めれば良いと思うので、必ずしも大学をやめることがすべてで、良いことだとは思いません。
大学はもともと学問を学びに行くところであって、就職訓練学校ではないので、学ぶべき対象がある人は大学に残ることもありなのではないかと思います。
6、自宅を捨てた若者たち
シリコンバレーにある「レインボーマンション」と呼ばれるシェアハウスの話です。このシェアハウスは入居するために面談や「世界を変えるために何をしたいか」などの変わった質問が並ぶ入居申込書を提出しなければいけません。実際に住んでいる人たちは頭の切れる理想主義者揃いで、元NASA職員、マイクロソフト、アップル、グーグルなどの一流企業の人たちが住んでいるそうです。
生活は、楽しく議論したりパーティーをしたり。しかし、夕食中に誰かが議論のネタを提供して、「社会における軍隊の役割」や「送水路を建設する創造的なアプローチ」などいろんなネタで議論をするようです。
刺激的な生活を求めてこの「レインボーマンション」に集まってくる人たちは多く、空きが出来たときには37人もの応募があったほど。
しかし、部屋にこもって他の人と喋らなかった人は、レインボーマンションの活動に参加しないような人は、住民にとって「機会の損失」になるため、退去を求めたこともあったそうです。
今はネット上のSNSなどで同じ意識を持った人たちはすぐに集めることができますが、実際には一緒に住んだりしたほうが、常に議論が活発になりクリエイティブな発想が生まれやすいのだと思います。こういう環境面白そうですね。
ちょっと長くなってきたので、記事を前半、後半に分けることにしました。
後半へつづく、、、
講談社 2013-07-25
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