今日、たまたま「ダイヤモンド・オンライン」を見ていたら、気になった記事があったので読んでみましたが、日本企業の人材育成の問題点がわかりやすく書かれていたので、紹介したいと思います。
今回読んだ記事はダイヤモンド・オンラインの
という記事です。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科、特任教授の高橋俊介さんの記事ですが、日本の人材育成方法の問題点をわかりやすく解説されていて、「う〜ん、なるほど」と感じました。
・「やる気」がないのではなく、「能力」がない?
こちらの記事の中である1人の新人社員の例が紹介されていました。
配属されたばかりの新人君がいつまでも椅子に座ったまま、考え込んでいます。
見かねた先輩が「おい、そこの新人、ぼーっとしてないで、早くお客さんのところに行け!」とハッパをかけたとしましょう。しかし、新人君はなかなか動きません。
たまりかねた先輩が、「お前、いったい、やる気あるのか?」と聞く。
新人君は口には出さずとも、腹の中でこう思うに違いありません。
(やる気はあるんですが……お客さんのところに行って何を話したらいいのかわからなくて……)
さて、この例でこの新人は「やる気」がないからだめなのでしょうか? 高橋先生はこの問題は「やる気」ではなく「能力」の問題だと言っています。やる気はあるけど、能力がないので、何をしたら良いかわからない、と。そして、日本の職場ではたびたびこの「やる気」と「能力」が混同されてしまっていると説いています。
では、「やる気」と「能力」の違いとは?
・「やる気」と「能力」の違い?
この例では先輩社員は新人社員がいつまでも動かないので、「やる気」がないと思っています。やる気がないから仕事ができない、と。しかし、そもそも新人で入ったばかりで何をしたら良いかわからないため、仕事を教える必要があります。営業先の見つけ方、お客さんのところでの話の仕方、仕事の取り方など。そういった基本的な「能力」がまず足りないところが問題なのです。
「やる気」はあっても「能力」がなければ仕事は取れず、いつかはやる気がなくなっていきます。以前働いていいた会社では、たびたびそういった社員を見かけました。
しかし、そういう人に上司や先輩社員が言うのは、「もっとやる気をだせ! 死に物狂いで働け!!」と。確かにやる気を出すのは必要ですが、やる気だけで物事が解決するほど、現代の市場は簡単ではないと思います。しかも、そういう「やる気指示」を出すのは決まって団塊世代の人たち。
今回の記事ではこの点についても取り上げていましたが、高度経済成長には動けば動いただけ仕事が取れる時代もあったので、やる気を出して動き回ればどれだけ仕事を取れたようです。そういった体験をしている人たちは仕事が取れない理由を「やる気がない」の一言で片付けてしまっている傾向がありました。正直、上司より何倍も動いていて、お客さんのことを考えていても「やる気が無い」の一言で片付けられてしまっている人を多く見ました。
もちろん上司の仕事として部下の「やる気」を引き出すのも仕事ですが、「能力」をあげることも仕事の1つです。しかし「やる気」のあげ方しか知らない上司は結局、その場その場だけハッパをかけるだけで「能力」をあげることができず、仕事の取れない社員はやめていくことになります。
・今後の日本の会社がすべきこと
こんな状況が周りの多くの中小企業で見られました。しかし、それでは人は育たず、若い内は良いけど、30歳くらいになると考えが合わずにやめて行きます。すると、30代、40代がいない会社が増えていきます。そういった会社を自分のいた会社や取引先などで、何社も見てきました。
世代間のコミュニケーションがうまくとれずに、本当に言いたいことがうまく伝わらず、会社が機能不全を起こしてしまっているような気がします。
「やる気」と「能力」を混同しないで、本当に社員に必要なものは何かということを一緒に考えて提供して、一緒に会社を盛り上げて行くということが今の日本の会社にとって大切なのだと思いました。
この記事を書いた「高橋俊介」さんの著書です。
高橋 俊介 日本経済新聞出版社 2012-06-23
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