沖縄は本土の神道や仏教とも違う自然崇拝から産まれた独自の信仰があり、その信仰対象になる聖地を御嶽(うたき)と呼び、御嶽は沖縄のいろんなところにあります。首里城の城内にも御嶽はあります。斎場御嶽は琉球の伝説にも出てくる琉球王国の最高の聖地です。
場所は、沖縄本島の南東部に位置していて、那覇空港からは車で1時間かからないくらいでいけます。今回の旅行で必ず行きたい場所のうちの1つだったので、沖縄に到着してお昼ご飯を食べたら早速、斎場御嶽に向かいました。
ナビが古いせいなのか、ナビに名前を入れても見つからなかったので、大体の場所を指定してレンタカーで向かいました。世界文化遺産にも指定されているので、近くに行けば看板が大きく出ているかと思いましたが、普通の案内板だけしかなかったので、うっかりして見落としそうになってしまいました。
大通りから一本入って、別荘地や老人ホームを抜けると斎場御嶽の駐車場が見えてきました。さすがに有名なだけあって、駐車場はほぼ満車です。
駐車場はきれいに整備されていて、トイレもありますし、歩道もきれいに整備してありました。駐車場は無料です。
斎場御嶽に入るには建物の中を通って行きます。
ここで入場料を支払います。大人200円、子供100円です。安いですね。
建物の中に入ると沖縄の聖地を訪れる前に知っておくべき注意事項が掲げられています。
・順路以外にむやみに立ち入らない。
・聖地にあるものに、むやみに触らない。
・動植物を持ち込まない、持ち出さない。
など。
本土では伊勢神宮や出雲大社ぐらいの格式だと考えれば当然でしょう。もし、出雲大社ではしゃぎまわって塀を乗り越えて行くような人が入れば、本土の人も心を痛めるのと同じような感じだと思いました。現地の人が大切にしているものは「見せてもらう」という気持ちで、礼儀を持って行くようにした方がよさそうですね。
順路はそんなに広くないです。
外には世界遺産の石碑が建っています。
順路に沿って少し丘を登ると「神の島」と呼ばれる「久高島」が見えます。琉球開びゃくの祖「アマミキヨ」が天から降りてきて最初に作った島だと言われています。歴代の琉球国王も毎年参詣を欠かすことがなかったほどの島です。
御門口(うじょうぐち)まで来ました。ここは神社で言えば拝殿にあたる場所で、昔はここから先は王府の関係者だけに限られていました。一般の人はここでお祈りをしたそうです。
大庫理(うふぐーい)は御門口を過ぎて最初の礼拝所です。大広間や一番座という意味を持っていて、手前に祈りの場があります。地元の人っぽい人が実際にここでお祈りをしていました。
ここは、戦争で砲弾が打ち込まれた跡だそうです。大きな穴で直径5mくらいありました。砲弾の威力の凄まじさがわかります。斎場御嶽の大切な場所に当たらなくてよかったです。
大きな岩に挟まれたジャングルの中のような道を通って奥に進んでいきます。
ここは、「寄満(ゆいんち)」と呼ばれる場所で、言葉の意味としては「台所」を差す言葉だそうですが、貿易の盛んな当時の琉球では、世界中から交易品の集まる「豊穣の満ち満ちたところ」と解釈されているそうです。せり出した岩が迫力あって、すごく静かで落ち着いた場所です。
そしてここが斎場御嶽で一番有名な「三庫理(さんぐーい)」です。二本の鍾乳石と三角形の空間を進んだ突き当り部分が祈りの場所になっています。
奥に進んで左側を見ると森の木々の隙間から久高島が見えます。
そして、奥の右側はチョウノハナの拝所。ここで木を伝って神様が降りてくるのだそうです。
ガイドの人の話が聞こえてきたのですが、本来なら奥の右側と正面の拝所が聖地としての価値がある神聖な場所なのに、久高島が見えるように階段を作ったりしたので、観光客はそちらに目が行くようになってしまって、本来の重要な場所が軽視されていると嘆いていました。
しかも、観光客の中にはお祈りに使う香炉に登って久高島を見ようとする人もいるようです。
この香台も聖地の中でとても重要なものなのに、軽視されているのが悲しいと言っていまいした。他に、ここでは以前発掘作業が行われていて、日本で3つしかない黄金の勾玉のうち2つがここから出土したそうです。
三角形の岩に入る前の右側には「貴婦人様御休み処」と呼ばれる場所と、二本の鍾乳石があります。この鍾乳石から滴り落ちる水を下においた壺で受けて、この水を中城御殿(国王の長子)と聞得大君御殿の吉兆を占うことに使われたり、お正月に神前に水を供える若水とりという儀式にも使われる聖水にしたそうです。
先日、ニュースで観光客のマナーが悪いということで本来の男子禁制の地に戻す検討がされているようです。個人的には、聖地なので、地元の人が大切にし、立入禁止、もしくはしっかりとガイドをつけての案内だけに制限しても良いと思います。入場料200円ですが、そのお金のために崇拝している場所が荒らされるのは地元の人にとっては悲しいでしょう。観光優先にしないで、聖地の価値と格式を守ることは大切なことだと思います。
そんなことを思いながら斎場御嶽を後にしました。帰りは下り坂で石段が滑るのでヒールなどの歩きにくい靴で来るのはやめた方が良いと思います。
富士山も世界遺産になったと喜んでしましたが、世界遺産に登録された経緯や文化や歴史などを学んでから観光すると、より面白いと思います。沖縄に来る前に目からウロコの琉球・沖縄史―最新歴史コラムを読んでおきましたが、事前に沖縄に関する歴史や文化がわかって観光がより楽しくなりました。