書評(本)

まんがで読破「罪と罰」の感想

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「まんがで読破」シリーズは結構持っているのですが、結構初期の頃に買ったのがこの「罪と罰」です。ドストエフスキーの作品の「罪と罰」をマンガ化した作品ですが、結構分かり易くて面白い。

 

罪と罰は気になっていた作品ですが、本で読むとなんだか辛そうで避けていました。しかし、まんがで読破シリーズなら簡単に30分くらいで読めますし、大体の内容も掴めます。

 

 

 

・まんがで読破「罪と罰」のあらすじ

ロシアのサンプトペテルブルグに住むラスコリニコフは頭が良い大学生でしたが、家が貧しくお金がなくなり大学を中退。そして、大学時代に書いた論文の一握りの天才は何をやっても社会の正義になるのならば許されるという思想のもと犯罪を犯してしまうが、罪の意識に苦しむことになる。

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

・まんがで読破「罪と罰」の感想

勉強ばかりすると机上の論理だけで物事を考えてしまうという典型的な人間のことを描いている気がします。日本にも学力が高くて良い大学に行ったけどプライドが高くて世渡りが出来ない人がいますが、そんな人間を象徴しているのがこの主人公のラスコリニコフでしょう。

 

ラスコリニコフが頭が良くても英雄になれなかった理由としては、最初から「自分は天才で周りの人が気がついていないだけ」ということを決めつけてしまっているところでしょう。ラスコリニコフが作中で天才と呼び、その人の正義のためなら人殺しをしても正当化されるという代表的人物としてナポレオンをあげてますが、彼も結局「結果があった」からであり、結果がなければただの人となります。そして、ラスコリニコフは殺人を犯しますが、結局その殺人には「大義」がありません。

 

ラスコリニコフは「自分が天才」(仮定)→「だから何をしても許される」という仮定の元に計画を実行してしまっています。ナポレオンは自分のことを自分で天才と思っていたかどうかは知りませんが、周りが天才と認めることでナポレオンの言うことを聞き、軍隊は他国を攻めて行ったのであって自分だけしか天才と認めていなかったラスコリニコフと違うと思います。

 

なんとなく最近ニュースでたまに見かける「無差別殺人」も同じようなものだと思えてきました。自分を特別視しすぎたため、自分が特別な人間じゃないということを思い知らされたときに、自分の表現方法がわからなくなって犯行してしまうのかと。

 

現代でも「ラスコリニコフ」のようなラスコリニコフ症候群は多いでしょう。ついちょっと前の日本のように子供が多く、兄妹が多いような社会、家庭環境では社会や家庭で特別視されることは少なく、特別視をされるのならそれなりの結果を出して周りに認めてもらわないといけないので、そういった事件も少なかったのかもしれません。しかし、現代のように一人一人大切に育てられ、自分を特別視することが多いような環境では「自分は周りの人間と別」と思っていたのに大学や社会に出た時に自分が「数多くいる凡人のうちの1人」と気付いたときの挫折感は大きいと思います。

 

現代でも通じることがあり「まんがで読破 罪と罰」結構面白かったです。

 

こうやって、マンガから入り実際の本に興味を持つこともあると思うので、まんがで読破シリーズは良い企画だと思います。

 

気軽に読めるのが一番ですね。

 

 

 

by カエレバ

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