投資 書評(本)

「新・メシの食える経済学 邱永漢」の書評と感想

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 株で現在成功を収めている友達が良いとすすめてくれたので購入しました。

 「経済学」というと社会における経済の構造などを難しい言葉で説明したものが多く、さらにそれを勉強したからと言って商売に直結するものではないものが多いですが、本書は実際に役に立つ経済学の本ということで「新・メシの食える経済学」と題しています。

 内容は筆者の長年の商売と投資の経験によって培われたお金に対する知恵や考え方などが紹介されていて、すべては実体験から来ているので机上の論理と違って頭に入ってきやすいです。

 

◆著者、本の概要

 著者は、1924年台湾の台南市に産まれ、45年に東京大学経済学部を卒業し55年に小説「香港」で直木賞を受賞した作家です。その後は作家、経済評論家、経営コンサルタントとして活躍して多数の著書を書いたり、いろいろな商売をしたりしています。

 本書は著者「邱永漢(きゅうえいかん)」さんの長年の商売、投資経験を元にして書かれた「メシが食える」ための本で、お金に恵まれるだけでなく充実した人生をすごすために必要な知恵が書かれています。

 本書の内容は、著者が実際に経験したことに基づいて書かれているため、頭に入ってきやすく、また信頼のおける内容です。全13章の中に仕事、不動産、株、経済、独立などについて書かれていて、すべての人が読めば必ず役に立つ内容だと思います。

 難しい内容ではなく、わかりやすく使える知識が多いのが特徴で、その中でもわかりやすい内容の例として「贅沢をするなら安いホテルの一番良い部屋に泊まるよりも、同じ金額なら最高級ホテルの一番安いホテルに泊まった方が良い」という言葉が印象に残りました。

 高いホテルの一番安いホテルに泊まっても受けられるサービスは一流で、高級ホテルに泊まっているという満足感も得られ、さらに一番安い部屋なので「節約している」という意識も忘れずにすむという言葉で、なるほどと思いました。「贈り物をするなら1万円の時計よりも1万円のスリッパ」というところも勉強になりました。

 

◆本の産まれた背景と気付き

 本書は著者の邱永漢さんが「世の中には経済の本はたくさんあるが、メシのタネになるようなことが書いてある本がない」と思い、それよりももっと身近な話でわかりやすくためになるものが書きたいということで書かれた本です。

 さすがに経験豊富な著者なだけあって、こういった本にありがちな「こうすれば儲かる」というちょっときつい内容ではなくて、もう少し本質的な節約の大切さや投資の心構えなどが書かれていたり、人の上手につきあう方法など人生を充実させるような知恵もあり、それがすべて自分の経験にもとづいているので、そこらにある投資本などよりも内容が凝縮されている感じがします。

 本書ではいろいろな事例が書かれていてどれも生活に役立つものばかりですが、「これをこうすればお金持ちになれる」という直接的な答えは書かれていません。しかし、本書の中にはお金に恵まれるための考え方が書かれていて、それは直接的な答えではないですが、身に付ければ一生、どんなときでも使える「知恵」なんだとわかります。

 

◆こんな人におすすめ

 本書を読んでいると著者がお金だけに取り憑かれている方ではなく人間関係を大切にする人柄だということが伝わってきます。そういった方でなくてもお金持ちはいると思いますが、やっぱりお金だけあるよりは、人生を楽しんでいる方が良いですね。そういった人になるためにはこの本はおすすめだと思います。

 すぐにでも儲けのタネが欲しい人は「〇〇をすれば月収100万円」というような本を読んだ方が良いでしょう。 

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