「フィンランドで日本食の食堂を経営する映画」と、初めて聞いたときに、なんとなくその衝撃的で想像できそうで、よくわからない内容にどこかずっと惹かれていました。
実際に観てみると心が温まる素敵な映画でした。
今まではぜんぜん気になっていなかった作品ですが、DVDを借りに行った時にふと目に止まり、フィンランドで日本の食堂を経営するという、映画の内容が想像出来かった作品だったので、気になって借りてきました。
・あらすじ
フィンランドのヘルシンキで日本食の食堂を経営しているサチエは、店をオープンして一ヶ月後に初めてきた日本大好きなフィンランド青年がふと口ずさんだガッチャマンの歌の続きが気になり、たまたま図書館で見かけた日本人のミドリに話しかけて教えてもらったことがきっかけで仲良くなります。
そして、ミドリはお店を手伝うようになり、さらに少しずつお客さんは増えていきます。
・ストーリーについて
この映画は細かい説明がほとんどありません。主人公のサチエがフィンランドで日本食の食堂を始めたきっかけもさらっと紹介されただけで、細かい説明はありません。最初は説明を省き、だんだんと後から過去がわかっていく手法なのかと思ったのですが、結局、詳しい説明は一切ありませんでした。
細かい説明なんて気にしないで、そういったところは自分で感じ取ったり、想像して楽しむ映画なんでしょう。
ストーリーについても大きな山場があるわけでなく、ゆっくりと静かで暖かい感じの時間が流れていくだけです。こちらの感情を揺さぶるようなシーンは一切ないのですが、そのゆっくりとした時間が大切で素晴らしいものだと感じさせてくれます。
食堂の話なので、「お客さんが来なくて困る」→「試行錯誤してお客さんが来るようになる」→「問題が発生して危機に陥る」→「危機を乗り越えハッピーエンド」のような展開かとも想像しましたが、終始ゆっくりとした時間が流れていきます。
小説も出ているようですが、あの雰囲気が小説だとどんな感じになっているのでしょう?
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・サチエの行動が温かい
主人公の小林聡美演じるサチエは誰とでも気楽に接して、なんだか昔の人情を持ったお母さんというイメージです。最初一ヶ月はお客さんが来なかった「かもめ食堂」もサチエの人柄に引き寄せられた人たちがだんだんと集まってきて、賑やかになっていくのを見ているとなんだか心が暖かくなるような気がします。
・とにかくご飯が美味しそう
この映画は観ているとご飯が食べたくなります。映画の中で登場するものは「焼き鮭」「おにぎり」「煮物」「唐揚げ」「とんかつ」などの普通の食べ物ですが、その普通のモノだから映画を通して味が伝わって来る気がします。これは小説では再現出来ない良さですね。
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フィンランド風の洗練されていて派手ではなく、落ち着いた雰囲気の調理器具や食器があって、あの雰囲気が出るのだと思いますが、さらに主人公が合気道を昔からしているという設定のせいか、なんとなく料理を作るときの動きも無駄がないように見えて、料理を作っている姿もきれいです。
映画を観ていて、むしょうにご飯が食べたくなって、結局、一度映画を停めて夜食を作って食べながら観ていました。空腹時に観るのは大変な映画だと思います。
・感想のまとめ
最初にミドリさんがかもめ食堂に来た時に「一ヶ月お客さんが来なくて、これからお客さんが来なかったらどうするんですか?」と聞かれ、サチエさんは「できるところまで頑張って、本当にだめだったらやめる」と明るく答えていました。その姿を見て、自分のやるべきことがわかっている人は、多少のことでは慌てないで、ただただやるべきことをやることの大切さを感じました。
全体的にはゆっくりとした時間が流れている映画なので、休みの日にゆっくりしたいときに観るのも良いと思います。
「素晴らしい」とか「すごい」とか大絶賛する映画ではなく、「素敵」だと思える映画です。