今週の日経ビジネスの特集は、「昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる」ということで、スマホ、パソコンなどの最新ツールに依存しない会社経営が強いということを特集したものになっていましたが、これを読んで昭和な勘違い経営者や上司が変なことをしないか、心配になりました。
・平成を捨てた会社
今回の特集では、いろんな昭和型の経営をして成功している企業があげられていました。例えば、岩田製作所という会社では、「スマホやめたら5000円」という方針を打ち出しました。
通称「ガラケー」と呼ばれる旧来型の携帯を使うのは良い(それでも通話とメールのみ)が、私用のスマフォをやめれば、毎月5,000円の報奨金を出すようにしているそうです。
また、未来工業という会社では、「パソコンを使っている時間があるなら顧客に会いに行くべき」ということで、パソコンで取引先とメール交換ばかりしている社員を見て、営業担当者からパソコン83台をすべて処分したそうです。
大企業であるキャノン電子でも、無駄な時間をなくすためにパソコンとメールを極力廃止したそうです。
と、いろいろな企業の脱パソコン、脱スマフォの事例を並べて、「昭和的な経営が強い!」というような雰囲気の記事でした。
「メールするなら電話をしたり、直接会ったりする」とか「パソコンばかりやっていても、ほとんどの時間は遊んでいる」や「すぐ済む用事をメールにするから電話で済ます」など、読んでいて納得できる内容が多かったので、スマフォ依存の自分としては勉強になりました。
しかし、この記事を読んで、変な勘違いをしそうな昭和社長、昭和上司が会社を混乱させる気がしました。
・業務の把握が大切
今回の特集記事に書かれていた昭和な会社はちゃんと「業務の把握」ができていると思います。記事を読んでも、完全にパソコン、スマフォをなくすのではなく、パソコン、スマフォだから絶対的に作業が効率的になるという妄想を捨て、逆にパソコン、スマフォで非効率になるポイントを見極めて、その部分のパソコン、スマフォからの脱却をしていると感じました。
そのためには、従業員の業務内容の把握が必要でしょう。営業からパソコンを奪い取って「営業は絶対にパソコンに触るな」と言っても、見積書を作成するときにはパソコンが必要なので、どこかでパソコンに触らなければいけない時が出て来きます。
今回紹介された企業は、パソコン、スマフォが本当に業務の中で必要なのか、あるいは、ある部分では不必要で、ある部分では必要なのかをちゃんと見極め、必要な部分は専門の係に仕事を回したりと、うまく業務の振り分けなどのフォローをしています。
しかし、この記事を読んで「とりあえず会社からパソコン、スマフォをなくそう!」と急に立ち上がる人もいるでしょう。
・業務の把握をせず脱パソコンをすると混乱する
昭和型の社長や上司の中には、パソコンやインターネットが不得意な人もいるでしょう。さらに、その中には、パソコン、インターネットやそれを使う人に対して敵意を抱いている人もいると思います。
今までパソコン、インターネットを使わないで仕事をしてきて、その自負があり、必要ないと思っていて、パソコン、ネットが嫌いな人にとっては今回の記事は渡りに船の状態です。
そんな社長や上司が、部下や社員の業務内容を把握しないまま、鶴の一声で「今日からパソコン、スマフォ禁止。なぜなら、自分はそんな物を使わずに今まで仕事をしてきた」と言えば、社内は大混乱に陥るでしょう。
「営業にパソコンを使うな!」と言っても、自分で見積もりを作っているような営業は社長や部下の前でパソコンを使えなくなるだけなので、結局、遅く帰ってきて社長や上司が帰ったあとでこっそりサービス残業をして見積もりを作るだけです。
業務の効率化どころか、社員のやる気はますますなくなりますよね。
この記事を読んで、そんな勘違い社長、上司が出てこないかと、余計な心配をしました。
・追記
そういえば、「残業ゼロ」で有名な未来工業も残業ゼロはリーマン・ショックの後だけで、結局その後は残業があったそうです。しかも、サービス残業まで発覚したそうで、社長が確認して、すぐに残業手当てをつけたそうです。社長がすぐに対応してくれるっていうのは、良い会社ですね。
ぼくは、残業代が出ないならそれはそれで良いと思いますが、表向きは出るように言っていて、実際は出ないというのがおかしいと思います。
日本の現状の日本社会は資本主義の競争社会に飲み込まれて、企業は常に利益の拡大を目指していますが、利益の元を作っているのは社員だということに気がついて欲しいです。
すべては、「人」が作り出しているものですから。
人間も大切にしないと壊れちゃいますよ。