日本の歴史で一番熱い時代「戦国時代」に関する漫画の紹介です。
今までいろいろな歴史漫画を読んできましたが、やっぱり戦国時代が一番面白い!
知っている名前が登場するたびに「おおっ!」となります。
作者によって人物の描き方、魅せ方が違うので、そういった視点の違いも楽しいですよね。
戦国時代をテーマにした漫画はたくさんありますが、今回紹介するのはあくまでファンタジーがないもの。
タイムスリップ系は省いていますので、あらかじめご了承ください。
それでは、自分も大好きな戦国時代の漫画を歴史順に紹介していきます。
戦国時代の始まり
最初は戦国時代初期の人物たちの作品です。
戦国時代初期は、応仁の乱の混乱後、戦国大名と呼ばれる、中央の影響を受けず自分で国を運営する大名が産まれた時代です。
織田信長がまだ活躍する前の時代。
新九郎、奔る!
タイトル | 新九郎、奔る! |
巻数 | 1巻〜 |
主人公 | 伊勢新九郎(北条早雲) |
時代 | 応仁の乱〜 |
評価 | 未読 |
2018年8月に第1巻が発売された「新九郎、奔る!」は、以前サンデーで連載されていた「究極超人あ~る」の作者「ゆうきまさみ」による作品です。
主人公は、関東地方の有力な大名家になる後北条をつくった「北条早雲」になる「伊勢新九郎盛時」。
最初の戦国大名と呼ばれた北条早雲の物語です。
まだ1巻しか出ていませんが、今後が楽しみな作品です。
センゴク外伝 桶狭間戦記
タイトル | センゴク外伝 桶狭間戦記 |
巻数 | 1巻〜5巻 完結 |
主人公 | 今川義元 |
時代 | 今川義元誕生〜桶狭間まで |
評価 |
人気戦国時代漫画「センゴク」の外伝で、今川義元が誕生して、今川家の当主になり、織田信長に討たれるまでが描かれています。
本書を読むまでは、今川義元は公家っぽい格好していて、親の跡取りで有力大名になったアホだと思っていましたが、実像はかなり違うようです。
そもそも、今川義元は長男ではないので、家督争いで苦労しましたし、戦国時代でも有名な軍師の一人である「太原雪斎」にしごかれた優秀な人物でした。
戦だけでなく、国の運営も上手で、武田信玄は今川義元のマネをしたくらいです。
桶狭間戦記は、今川義元と密接に関わってくる「織田家」についても描かれています。
織田信長の父親「織田信秀」が登場し、織田家が反映した理由である「経済」との関わりについての説明がわかりやすいです。
戦国時代と言うと「戦の強さ」に目が行き勝ちですが、経済や国の運営の大切さがわかる漫画です。
若き日の徳川家康の初陣も出てきます。
猛き黄金の国 道三
タイトル | 猛き黄金の国 道三 |
巻数 | 1巻〜6巻 完結 |
主人公 | 斎藤道三 |
時代 | 斎藤道三 還俗〜死まで |
評価 |
北条早雲と並んで有名な初期の戦国大名「斎藤道三」の物語です。
斎藤道三が寺を脱走して、京都で油売りになり、大名に上り詰めて、死ぬまでが描かれています。
本宮ひろ志らしく、少年漫画っぽい熱い展開が続くので、勢いがあって読みやすいです。
斎藤道三の夢が織田信長に繋がれていく流れがわかります。
斎藤道三もサラリーマン金太郎も、最終的に主人公が同じ顔になっているのは、作者あるあるですね。
武田信玄
タイトル | 武田信玄 |
巻数 | 1巻〜4巻 完結 |
主人公 | 武田信玄 |
時代 | 武田信玄 誕生〜死まで |
評価 |
新田次郎の小説「武田信玄」を横山光輝が漫画化した作品です。
古い絵で、合戦シーンの迫力はなく、読んでいて「これった誰だっけ?」と思うほど、似たようなキャラクターが出てきますが、それでも作品として面白いのは、さすが巨匠横山光輝です。
名門の武田家に産まれるも、弟との跡目争いや、妻との不和、父の追放、息子の処罰など、山程の苦難を乗り越えていきます。
海もなく、周りが強国になっていく中では、冷酷にならないと生き残っていけず、仕方ない選択をして強くなっていたのだとわかります。
武田騎馬軍団が「最強」と呼ばれるようになった過程がわかる作品です。
戦国時代中期 信長、秀吉時代
ここからは戦国時代中期の漫画。
織田信長か活躍し始めた、戦国時代でも一番有名で人気のある時代です。
センゴク
タイトル | センゴク |
巻数 | 1巻〜15巻 完結 |
主人公 | 仙石秀久 |
時代 | 仙石秀久士官〜浅井長政死亡 |
評価 |
最近戦国時代で一番有名な漫画だと思います。
戦国大名「仙石秀久」が、織田信長に仕えて、織田信長が浅井長政を討ち滅ぼすまでの話です。
作者は漫画を書くときに、書簡を読み、現地視察をするなど、自分で取材して描くというこだわりがあります。
そのため、城攻めの臨場感はすごいです。
後に大名になる仙石秀久も、このときは足軽として戦場にいくため、大名目線とは違った現場のリアルな合戦を感じられます。
浅井長政の居城「一乗谷城」の城攻めの話は、城の攻略方法、一兵卒から見る城攻めの恐ろしさなどがわかりやすく描かれています。
秀吉の活躍も描かれていて、出世した理由が良くわかります。
嫌な仕事も引き受け、チャンスとなれば誰よりも早く動くという仕事っぷりは、現代でも通用するスキルですね。
センゴクでは、信長と秀吉の優秀さとその理由が良くわかります。
2人は「我慢するときは動かない、しかし、チャンスになれば機を逃さないスピードで動く」という共通点があることがわかります。
長年煮え湯を飲まされ続けてきた朝倉義景を討つチャンスができたときの信長のスピード、そして、浅井長政を攻めるチャンスができたときに、信長の期待に応えるように動いた秀吉。
戦国時代に必要だったスピード感のある展開が楽しめます。
センゴク天正記
タイトル | センゴク天正記 |
巻数 | 1巻〜15巻 完結 |
主人公 | 仙石秀久 |
時代 | 伊勢長島の合戦〜武田家滅亡 |
評価 |
センゴクの続きです。
ここからは、織田信長が天下に向かって進んでいきますが、その行く手にはまだまだ困難があります。
主人公「仙石秀久」は、部を率いるようになり、戦や政治での視点が変わってくるのも見どころです。
有名な「長篠の戦い」は作者の見解を入れて描かれていて、長篠の戦いが織田軍もぎりぎりの戦いだったのだとわかります。
浅井長政を滅ぼしたあとは、余裕で天下取りに向かっていたのだと思っていましたが、実際には本願寺の策略で、常に織田包囲網が敷かれて、大変だったのですね。
センゴク一統記
タイトル | センゴク一統記 |
巻数 | 1巻〜15巻 完結 |
主人公 | 仙石秀久 |
時代 | 本能寺の変〜小牧長久手の戦い |
評価 |
天下に手が届きそうだった織田信長が明智光秀に討たれる「本能寺の変」と、その後、秀吉が勢力を伸ばしていく話です。
センゴク一統記では、明智光秀が信長に謀反を起こすまでの敬意が描かれていますが、いろいろと説明されているけど、なんだか自分の中で納得できませんでした。
まあ、何が本当の謀反の理由なのかなんてわからないから、歴史好きがあ〜だこ〜だ言えるという楽しみがあるんですけどね。
唯一の秀吉対家康の戦いである小牧・長久手の戦いが面白いです。
やっぱり徳川軍って戦が強かったんだなぁ。
しかし、戦が強いだけでは、天下が取れるわけではないということが、今回のセンゴク一統記でわかります。
主人公のセンゴクがついに大名になるのも見どころです。
センゴク権兵衛
タイトル | センゴク権兵衛 |
巻数 | 1巻〜12巻 続刊 |
主人公 | 仙石秀久 |
時代 | 紀州征伐〜 |
評価 |
センゴクシリーズの最終章です。
紀州征伐の話から始まりますが、昔のように泥臭く戦っていて、戦場の臨場感が伝わってきました。
今回の「センゴク権兵衛」では、大名となった主人公「仙石秀久」が、九州で大失態を犯して、追放されて一般人になる様子が描かれています。
今はまだそこまでですが、最後に奇跡の挽回を起こして、大名に返り咲くところが楽しみです。
へうげもの
タイトル | へうげもの |
巻数 | 1巻〜25巻 完結 |
主人公 | 古田織部 |
時代 | 本能寺の変前〜徳川2代将軍 |
評価 |
「へうげもの」は「ひょうげもの」と読み、「ふざけるもの」「おどけるもの」の意味がある言葉です。
主人公の古田織部は、織田信長→豊臣秀吉→徳川家康に使えた戦国武将です。
しかし、古田織部は「数寄者(茶の湯や道具に熱心な人」で、戦よりも茶器や茶会、茶室などが大好き。
戦国時代の有名人、織田信長、豊臣秀吉の近くにいたことで、師匠である千利休に出会い、ますます茶の湯に没頭していきます。
本当はやりたいことがあるのに、なかなか好きなことができないでもがいている様は、現代のサラリーマンに通じるものがあります。
それでも、ちゃっかり出世していく運の良さを持っています。
好きなものを極めようと悩み、もがく姿は武将というよりも芸術家です。
ギャグ満載でおちゃらけた雰囲気の漫画ですが、ときにシリアスな場面もあり、それが上手に描けています。
戦国時代は戦いの時代ですが、そんな中「数寄」という道を選んだ主人公の視点で見る作品は珍しくて、新鮮でした。
信長を殺した男
信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~(1) (ヤングチャンピオン・コミックス)
タイトル | 信長を殺した男 |
巻数 | 1巻〜4巻 続刊 |
主人公 | 明智光秀 |
時代 | 本能寺の変前〜本能寺の変 |
評価 | 未読 |
「本能寺の変431年目の真実」の著者で明智光秀の子孫である「明智憲三郎」が原案を担当した話題の漫画です。
戦国時代の負け組と言えば「石田三成」と「明智光秀」だと思っています。
その2人はその後の権力者たちに印象を悪くされているのですが、それは現代でも引きずっていて、その2人が主人公の物語ってなかなか出てこないですが、やっと明智光秀が主人公の漫画がでました。
まだ完結していないので、どうやって本能寺の変が描かれるのか楽しみです。
伊達政宗
タイトル | 伊達政宗 |
巻数 | 1巻〜4巻 完結 |
主人公 | 伊達政宗 |
時代 | 伊達政宗誕生〜3代将軍家光 |
評価 |
山岡荘八の伊達政宗を原作にした横山光輝の漫画です。
苦労した幼少時代、東北の覇者となるまでの道のり、豊臣秀吉への服従、天下を狙う策など、これを読めば伊達政宗に関することが描かれています。
戦国時代の話も面白いですが、個人的には関ヶ原の後の徳川政権が地盤を作ろうとしているときのゴタゴタに、伊達政宗が関わっていたというとこが面白かったです。
豊臣秀吉が天下をとり、徳川家康が天下を治めようとしているときも、虎視眈々と常に天下を狙っていた伊達政宗の野心と、その後の徳川家への忠義がわかる作品です。
東北旅行に行く前に全巻読んで行きましたが、おかげで東北の地理や歴史に詳しくなり、良い旅ができました。
島津戦記
タイトル | 島津戦記 |
巻数 | 1巻〜2巻 完結 |
主人公 | 島津義久、義弘、歳久、家久 |
時代 | 義弘15歳〜関ヶ原の戦い |
評価 | 未読 |
戦国最強と恐れられた島津家が九州を平定するまでを描いた「九州平定編」と、島津の武勇を世に知らしめた、関ヶ原の退却を描いた「関ヶ原の退き口編」の全2巻です。
島津軍には、先程紹介した「センゴク」の主人公「仙石秀久」もボコボコにやられています。
花の慶次
タイトル | 花の慶次 ー雲のかなたにー |
巻数 | 1巻〜18巻 完結 |
主人公 | 前田慶次 |
時代 | 本能寺の変前〜関ヶ原の戦い |
評価 |
天下一の傾奇者と言われた前田慶次の活躍を描いた作品で、作者は北斗の拳で有名な原哲夫です。
歴史の流れを描くというよりは、戦国時代に生きた前田慶次の活躍を描いたヒーロー漫画のような感じ。
あまり歴史の勉強にはなりませんが、読んでいて熱い気持ちになるのはさすがジャンプで連載していた少年漫画。
実際の前田慶次という人物はわからないことが多く、かなり誇張したり美化したりして描かれているので、参考にはならないです。
途中で琉球まで行ってしまいます。
とはいえ、戦国時代の実在の人物がたくさん出てきて、戦国時代の雰囲気を楽しむファンタジー漫画としては、素晴らしい出来です。
途中、人間の縮尺がおかしくなるシーンは、さすがにツッコミたくなります。
真田太平記
タイトル | 真田太平記 |
巻数 | 1巻〜13巻 続刊 |
主人公 | 真田一族 |
時代 | 武田家の滅亡〜 |
評価 | 未読 |
池波正太郎の小説「真田太平記」を原作にした漫画です。
有力大名やときの権力者に翻弄されながらも、なんとか生き残ろうとする真田一族の勇姿が見られる作品です。
戦国時代後期 関ヶ原以降
最後は関ヶ原以降を中心に描かれた漫画の紹介です。
関ヶ原以降は大阪の陣くらいしか大きな戦はないですが、徳川家が将軍になり、国を治めようとするなかで、戦ではない権力争いが展開されていく時代になります。
影武者徳川家康
タイトル | 影武者徳川家康 |
巻数 | 1巻〜6巻 完結 |
主人公 | 世良田二郎三郎 |
時代 | 関ヶ原の戦い |
評価 |
先程紹介した花の慶次と同じ「隆慶一郎」原作、「原哲夫」作というタッグの作品。
関ヶ原の戦いで、徳川家康が甲斐の六郎という忍者に暗殺され、影武者であった「世良田二郎三郎」が徳川家康に成り代わり、徳川政権が安定するまで、影武者が徳川家康として振る舞うという話です。
荒唐無稽な設定のようで、読んでいると意外と「あれ、もしかしたら本当にそうなのかも、、、」と思えてくるから不思議。
SAKON 戦国風雲録
タイトル | SAKON 戦国風雲録 |
巻数 | 1巻〜8巻 完結 |
主人公 | 島左近 |
時代 | 関ヶ原の戦い〜大阪の陣前 |
評価 |
先程の「影武者徳川家康」の登場人物、島左近を主人公にした作品です。
ストーリーの基軸は影武者徳川家康と同じですが、島左近の視点になっていて、過去の話なども登場します。
忍者同士の対決は迫力があって良いのですが、ストーリーが進まないのは残念。
猛き黄金の国 柳生宗矩
タイトル | 猛き黄金の国 柳生宗矩 |
巻数 | 1巻〜3巻 完結 |
主人公 | 柳生宗矩 |
時代 | 本能寺の変〜徳川家光 |
評価 |
柳生という名前は聞いたことがあるけど、実際に何をした人なのかということは知らないという人が多いと思います。
柳生宗矩は柳生石舟斎の5男で、柳生十兵衛の父です。
徳川秀忠や徳川家光など将軍に剣を教えた、将軍家の剣術指南役であり、柳生新陰流の当主でもありました。
この物語は、柳生宗矩が徳川家康に仕える頃から始まり、影で徳川家を支えていく物語です。
本宮ひろ志にしては珍しく、派手さが少ない少ない作品です。
裏で徳川政権の基盤作りをしていた、柳生宗矩の静かで冷静な政治的駆け引きは見どころです。
徳川家康は関ヶ原の戦い、大阪の陣で勝って、その後の徳川政権は順分満帆だと思っていました。
しかし、その政権の立ち上げの裏では、人が治める政治から、法が治める政治への転換があり、苦労があることがわかった作品です。
豊臣贔屓の大大名だった福島正則の改易も、かなり慎重に進められたのだとわかりました。
まとめ
同じ時代の歴史漫画を読むことで、視点が変わり、物事の見方が変わるということを学べます。
視点が変わると、ある人の正義とは、別の人にとって正義ではないと気が付きます。
そういった視点は、現代のニュースの本質を読み解く上での武器になると思います。
学習は、いきなり難しいことをやるよりも、最初は簡単に学ぶほうが良いと言われています。
本を読むのも良いですが、今は気軽に読める漫画がたくさんあるので、戦国時代のことが知りたくなったら、まずは漫画からはいると興味を持ちやすいので、おすすめです。