今回の京都旅行の目的の1つに「鈴虫寺」への参拝がありました。奥さんが以前に鈴虫寺でお願いをして結婚できたので、次に京都に行くことがあれば、お礼参りをしたかったからです。
そんな経緯から鈴虫寺に行くことになりましたが、行ってみたら意外と楽しく、考えさせられることがたくさんあり、良い刺激をもらったお寺でした。
1.鈴虫寺への行き方
鈴虫寺へ行く方法はいくつかあります。
京都駅からは、
・市バス 28番大覚寺ゆき 松尾大社 下車 徒歩15分
・京都バス 73番、83番 鈴虫寺ゆき 終点 下車 徒歩1分
嵐山からは、
・京都バス 63番、73番 鈴虫寺ゆき 終点 下車
です。今回は、電車で嵯峨嵐山まで行って、そこから渡月橋まで歩き、渡月橋を渡らず、左に曲がって川沿いにあるバス停からバスに乗って鈴虫寺まで行きましたが、このルートはおすすめできません。嵐山に用事があるのであれば別ですが、嵐山に用事がないのであれば、別のルートで行った方が良いです。
理由は、嵐山周辺はものすごい渋滞するので、バスが遅れることもあります。今回は20分以上バスが渋滞で遅れました。京都旅行の大事な時間をバス待ちで潰すなんてもったいないです。
もしバスが混んでいるようなら、阪急嵐山線の嵐山駅まで歩いていって、そこから「松尾」という駅まで電車で行って松尾から歩いた方が良いかもしれません。
松尾駅からは歩いて15分ほどで鈴虫寺に到着します。
今回、嵐山周辺ではバスに乗らない方が良いということに気が付きました。
2.鈴虫寺とは
鈴虫寺は享保8年(1723年)に、華厳宗の復興に尽力した鳳潭上人が開祖したお寺で、明治初期に臨済宗の寺院に改めたそうです。説法で和尚さんが「このお寺は最初は華厳宗でしたが、途中で禅宗に変わりました」といっていましたが、禅宗とは臨済宗、総同種、黄檗宗を1つにまとめた呼び名です。
平安時代の大日如来を本尊とし、鎌倉期の宝冠釈迦如来像を安置しています。本当の名前は華厳寺という名前ですが、一年中鈴虫の音が聞こえることから「鈴虫寺」と呼ばれるようになって、最近では鈴虫寺という名前の方が有名になり、ホームページにも大きく「鈴虫寺」と書かれています。
鈴虫寺と行っても鈴虫が庭にいるわけではなくて、境内でちゃんと虫カゴに入れられて飼育されています。何千匹もの鈴虫がいて、いつでも鈴虫の鳴き声が聞こえるようになっています。
なぜ、鈴虫を飼うようになったかというと、昔の鈴虫寺の住職が鈴虫の鳴き声を聞いて、人の儚い一生のことを思い、悟りを開いたので、その鈴虫の音を寺を訪れる人に聞いてほしいという思いから始まったそうで、28年も試行錯誤して、ようやく一年中鈴虫の音色を聞けるようになったと言っていました。
3.鈴虫寺は若い女性でいっぱい
嵐山からバスに乗ったのですが、同じバスに乗ったのは20代前半っぽい若い女性たちでした。しかも、途中のバス停で乗ってきた人たちも若い女性ばかり。結局、最終的にバスの中が7割くらい若い女性になってしまいました。
どうやら鈴虫寺は若い女性たちの間で話題の恋愛成就の場所らしいです。
バス停を降りると看板があるので、すぐにわかります。
鈴虫寺に到着すると結構な人で賑わっていました。もともとそんなに大きくないお寺なので、大勢で行くと混雑します。
紅葉はまだでした。
4.拝観料
鈴虫寺の拝観料は500円です。500円を払うとお堂に案内してくれて、お茶とお菓子を出してくれます、そこで和尚さんの説法が聞けて、そのあとに庭を見て、お地蔵さんにお参りして帰るという流れです。
5.鈴虫説法
鈴虫寺は、来た人に説法をするので、勝手に庭を見て帰るようなお寺ではありません。そのため、前の人達の説法が終わるまで待たないといけないのですが、この日はだいたい40分待ちでした。
あとで聞きましたが、これでも土日なら空いているほうらしいです。もし次に鈴虫寺に来るなら平日か朝早くに来ようと思いました。
40分くらい待って、ようやくお堂に案内されました。
お堂の中は200人座れるらしいですが、満席です。ここには鈴虫の虫カゴが並べられていて、鈴虫の音を楽しむことができます。
みんなが入りきると、和尚さんが出てきて、説法を始めてくれました。この説法が人気で「鈴虫説法」と呼ばれているそうです。
説法は最初はわかりやすい話から始まりました。まずは、鈴虫寺の由来である、鈴虫を飼い始めた理由、そして、なぜお茶とお菓子を出して説法をするかということ。
参拝客にお茶とお菓子を出すのは禅のもてなしなのだそうです。最近は、お寺と言っても庭やお堂を勝手に見てもらって、和尚さんとの話もしないお寺が多いけど、鈴虫寺はせっかく不便な場所にあるところまでわざわざ来てくれたのだから、お茶とお菓子でおもてなしをして、説法の1つでも聞いてもらって参拝者と交流をしたいと思ったところから、始まったそうです。
確かに、最近どこのお寺に行っても受付はバイトの人っぽくて、お金を払ってパンフレットをもらって勝手に中を見て回って終わりというところが多い気がします。こういう時代だからこそ、お寺としては世の中で苦しんでいる人の心の苦しみを解くために、仏教の教えを伝えるべきじゃないでしょうか?
鈴虫寺では、参拝してくれた人となるべく多く話をしたい思っていましたが、人気が出てしまってなかなか多くの人と話が出来なくなったので、メールでの悩み相談も受けているようです。
最近の日本は宗教離れといいますが、お寺の側でこういった本来のお寺の仕事をしていないから人の心が離れていっているのだと思います。そういった意味では新興宗教の方がホームページを解説して、悩みを聞いたりしている点では勝っていると思います。
・わらじを履いたお地蔵さん
説法は途中から「わらじを履いたお地蔵さん」の話になりました。鈴虫寺にはわらじを履いたお地蔵さんがいて、わらじを履いたお地蔵さんは日本で鈴虫寺だけだそうです。なぜわらじを履いているかというと、お参りに来てくれた人の願いを叶えるために、全国を歩いて回るためだそうです。
そのため、お参りで願い事を言う時には、必ず心の中で「名前」「住所」を言わないといけません。名前と住所を言わないとお地蔵さんが願いを叶えに来てくれなくなるからです。
鈴虫寺は最近、恋愛成就で人気の場所で若い女性が多く訪れるそうですが、彼氏が欲しい人のお願いの仕方も教えてくれました。一番大切なことは「自分にふさわしい人」と結婚または、付きあわせてくださいとお願いすることだそうです。
「高学歴」「高収入」「背が高い」「カッコ良い」などを望むではなく、「自分にあったふさわしい人」と巡りあわせてもらうことで、幸せになると説いていました。確かに、相手の年収がいくら高くても自分と合わない人と結婚しては、幸せになれないと思いました。
・感動した鈴虫説法
説法は最初は、笑いを誘いながら話に引き込んでいき、途中からはお地蔵さんへのお参りの仕方を説明し、後半は生き方を説いてくれました。
タレントの板尾創路の話になり、板尾創路の子供が最近乳幼児突然死症候群で亡くなったときに言った「これからは喜びがなくなってもいいから、悲しいことはおきないでほしい」という言葉についての話がありました。
人間は生きていく上で嬉しい事や悲しいことがあり、それは避けられないものであると。悲しいことが起きるのも人生であり、そういったことを受け入れることで人間は成長できると説いていました。
最初は、笑いをまぜて話に引き込んでくれた和尚さんも、途中からはまじめな話になり、とても感動しました。鈴虫寺に来る前はつまらなくて寝てしまったらどうしようかと考えていましたが、話し方がうまく、寝るどころか感動し生きるヒントをもらうことが出来ました。隣に座っていた人は感動して泣いていました。
・お守りと本
説法が終わったらお守りを買いたい人は買って、帰りにお守りをもってお地蔵さんのところへ行き拝みます。お守りと一緒に本が売られていました。てくてく地蔵のしあわせ問答という本で、メールでの悩み相談のやりとりが書籍化された本で、面白そうだったので買って帰りました。
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・落ち着いた庭園
お堂を出て順路を歩くと庭に出ます。小さいですが、手入れがしっかりしていてとてもきれいな庭園です。
紅葉はまだでしたが、ところどころ色づいていてきれいでした。
庭園は小さいですが、じっくり見ると味わい深い良い庭です。
・わらじを履いたお地蔵さんにお願い
帰りに、先ほど買ったお守りを持って、お地蔵さんに「名前」「住所」を伝えてお願いごとをして帰りました。
鈴虫寺はリピーターが多いと聞きましたが、理由がわかる気がしますし、恋愛が成就する理由もわかります。
最初は、「恋愛や結婚の条件」に縛られていた人たちがここへ来て、「自分にふさわしい人」と恋愛できるようにお願いすることによって、周りの見方がかわり自分自身が変わることで、自分にふさわしい人を見つけられるようになり、恋愛が成就してお礼のお参りに来ることでリピーターになるのだと思います。
勝手に「お願い」だけして帰る場所が多い中、こうやってお願いごとの仕方を教えてくれることによって、自分自身を見つめなおさせてくれることで、鈴虫寺にきた人は恋愛が成就するのでは無いでしょうか?
帰りながらてくてく地蔵のしあわせ問答を読んでいましたが、恋愛のことだけではなくて、人生を生きる上でのいろんな考え方やヒントが禅の教えに従ってわかりやすく説明されていて面白い本でした。
・願いが叶ったらお礼参り
願いが叶ったらもう一度お地蔵さんへお参りに来て、感謝の気持ちでお地蔵さんの前で手を合わせることが必要です。そして、お守りを受付で納めます。
もし、来れない場合は郵送でも大丈夫だそうです。郵送の場合は、、自宅からお地蔵さんのいる京都の方へ感謝の気持ちで手を合わせて、その後郵送にて納めればよいそうです。